鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

シールで時給が上昇する

[要旨]

従業員は、自分の評価に不満を持つことがありますが、評価制度が明確であれば、評価結果に差があっても、不公平感がやわらぎます。ただし、導入にあたっては、労力を要することから、導入に踏み切れない会社も少なくないようなので、簡単なものから導入することをお薦めします。


[本文]

弁護士の岸田鑑彦(きしだあきひこ)さんの配信しているポッドキャストを聴きました。その中で、インタビュアーの栃尾江美さんが、かつて、マクドナルドでアルバイトしていたときのご経験をお話しておられました。すなわち、マクドナルドのアルバイトの方は、新たなスキルを習得すると、名札に貼るシールをもらうことができ、シールが増えると時給も上がるという仕組みだったので、時給に差があっても、不公平さは感じなかった、というものです。

このマクドナルドの仕組みは有名で、同様の仕組みは、アルバイトの方をたくさん活用している会社でも導入されているようです。経営者としては、たくさん働く人にはたくさん報いたいと思うわけですが、評価の仕方に客観性が乏しいと、評価されなかった方から、えこひいきしていると思われてしまう恐れがあります。でも、前述のような仕組みがあると、栃尾さんもおっしゃっておられるように、結果に差があっても、不公平感は起きにくくなります。

ところが、従業員数が少ない会社では、このような評価制度がないことで、不公平感がくすぶっているという例も、少なくないと、私は感じています。評価制度があれば、従業員の方の不公平感が減少し、会社に対する不満も減るということは、容易に理解できるのですが、それを導入していない会社がある理由として、次のようなことが考えられます。

ひとつめは、経営者が慢心し、自分の考え方は、従業員に十分に理解してもらえているから、あえて評価制度を作る必要性がないと考えてしまっていることが考えられます。ただ、これは、経営者の方が一方的にそう考えているだけであり、実際には経営者の過信のことが多いでしょう。ふたつめは、評価制度を作る労力が大きいということです。評価制度は、事業が会社によって異なるので、他社の事例をモデルにすることはできますが、自社に合うものを作ろうとすることは、最初に労力が必要であることは、間違いありません。

しかしながら、経営者には、組織活動を活性化したり、従業員の働きやすさを確保するという、重要な役割を担っているるわけですから、従業員の不満を減らす仕組みである評価制度の導入は避けたいと考えることは、経営者の基本的な役割を避けていることになると思います。もし、評価制度の導入が面倒と考えておられる経営者の方がいらっしゃれば、簡単なものからでも、導入することをお薦めします。

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