鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

仕事に人をはりつける

[要旨]

仕事の属人化することは好ましくないということは、多くの経営者の方が理解していながら、なかなか実践できないようです。そこで、これからの経営者は、単に、事業活動だけに着目するのではなく、組織運営にも注力し、優れた組織づくりを目指していく必要があります。


[本文]

経営コンサルタントの小山昇さんが、マニュアルの重要性について小山さんのブログに書いておられました。「多くの会社は、優秀な仕事をする人がいると、その人に仕事がついてしまいます。さらに、その人がどんどん同じ仕事をするので、習熟度が上がっていきます。上がれば上がるほど、その仕事がブラックボックスになり、その結果、その仕事はその人しかできない。またその人が居なくなると困るからと、社長が遠慮する。それによって、社員みんながイヤな思いをすることになる。そこで、わが社では、定期的に人事異動を行って、人に仕事がつくのではなく、『仕事に人をつける』ことにしています」

すなわち、仕事が属人的になると弊害が起きるので、それを防ぐために、マニュアルを整備しているということです。そして、この仕事の属人化は好ましくないということは、多くの経営者の方も理解しておられると思います。小山さんのご指摘のとおり、一定の仕事がブラックボックスになると、その人がいなくなったときに事業が滞ったり、不祥事が起きたりするという弊害があるからです。

しかし、それが分かっていながら、「定期的な配置転換をしたり、マニュアルを作成するための余裕がない」などの理由で、この仕事の属人化を防ぐ対策は、多くの会社で後回しになりがちです。でも、ひとりの人がいろいろな仕事ができるようになる、マニュアルが整備されているという状態は、組織で事業を行うことの大きなメリットです。むしろ、このような状態が実現できなければ、組織活動をする意味はありません。

ですから、私は、会社を作って、組織的な活動をすることに関しては、単に、ものを仕入れ、加工して売るということにだけ着目するのではなく、このような、真の意味での組織的な活動ができるようにしなければならないという前提で、起業しなければならないと考えています。むしろ、それができなければ、競争力のない会社になってしまい、早晩、ライバルとの競合に勝てなくなくなってしまうでしょう。これからの起業家、経営者の方は、組織運営に関して、ますます注力しなければならないと思います。

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