鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

同窓会に行けない症候群

[要旨]

ビジネスでの人との関わりは、経済的な価値観で接するだけでなく、人間味をもって接していないと、希薄な関係が進んでしまい、ビジネスの強みが発揮されなくなります。


[本文]

日経ビジネス副編集長の、鈴木信行さんのご著書、「同窓会に行けない症候群」を読みました。(ご参考→ https://amzn.to/3c7fw6n )本の主旨としては、「同窓会」とは、他人と関わることの象徴的な例で、いまは、人と関わることそのものを嫌う高齢者が増えており、それによって引き起こされるであろう社会問題について述べられています。社会問題の例としては、保育園建設の反対運動や、44歳の長男を刺殺した、当時76歳の元キャリア官僚の事件などが指摘されています。

これらは「べき論」で言えばこのましくないことですが、現在は、単に嫌だからという理由で、他人と関わること避けても、それが許容されるようになっています。ただ、そのような短絡さから、自分の快適さしか考えない保育園建設反対運動や、公的機関に相談せずに高齢者が長男をあやめる事件が起きるということにつながっています。そして、この本が指摘していることは、多くのビジネスパーソンたちに、さまざまな対応が必要になってくることを、改めて気づかせてくれていると思いますが、その中で、私が大切と感じることは、「ひと」をあらゆる面で理解できるようにするということだと思います。

「あらゆる面」というのは、例えば、組織論の大家、バーナードの提唱した全人仮設の、物的要因、生物的要因、社会的要因など、多面的にとらえることが必要ということです。恐らく、多くのビジネスパーソンは、従業員や顧客を、経済人仮説(経済合理性、すなわち損得だけで動く対象)としか見ていないか、ほぼ、それだけでとらえようとしているのではないかと思います。ここまで、理屈っぽい書き方をしてしまいしたが、簡単に言えば、経済活動を行っている人であっても、もっと、人情味を持ってお互いに接することが必要になってきているということです。

今回の記事の内容も、至極当然で、多くの人が理解はしているとは思いますが、同書の指摘のように、同窓会に行けない人が増えているということを見ると、もっと具体的な活動が必要になってきているし、それを、経済活動のリーダーたる人たちに、ますます求められるようになってきているということを、改めて感じました。

 

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