[要旨]
金融庁は、民間金融機関に対し、コロナの影響を受けている会社の支援策として、資本性ローンを積極的に活用するよう、要請をしました。
[本文]
5月27日に、令和2年度第2次補正予算が閣議決定したことを受けて、金融庁監督局長が、「令和2年度第2次補正予算の決定を踏まえた資金繰り支援について」という書面を公表しました。(ご参考→ https://bit.ly/3go0IU6 )その書面の中で、金融庁は、民間金融機関に対し、次のように、資本性借入金の活用について要請しています。「急激な経営環境の変化により、資本の充実が必要となった企業に対する支援において、資本性借入金が有用であり、積極的に活用すべきこと」
ちなみに、金融庁の金融機関向け監督指針によれば、資本性借入金とは、おおよそ、次のような借入金を指します。(ご参考→ https://bit.ly/2TINPKv )(1)契約期間が5か年以上で、期限一括返済か、それと同等の条件のもの。(2)金利は、資本に準じて配当可能利益に応じたもの。(3)劣後性について、法的破綻時の劣後性が確保されているもの。要は、事業活動に新型コロナウイルス感染症の影響を受けている会社(以下、コロナの影響を受けている会社と記します)への支援に関し、民間金融機関も積極的に資本性ローンを活用すべきということを、金融庁が要請しているということです。
私は、コロナの影響を受けている会社への支援については、多くの場合、セーフティネット保証か、日本政策金融公庫の特別貸付で、十分に対応が可能と考えています。しかし、資本性ローンの活用を金融庁が要請するようになった背景には、資金繰が行き詰り、倒産に至る会社を増やしたくないという、政府の強い意向があるものと考えられます。ただし、私は、資本性ローンの活用が、万能の解決策になるとは考えてはいません。
そこで、民間金融機関が取り扱った資本性ローンを、政府(または、政府が出資するファンド等)が買い取るなどの、さらに踏み込んだ対応などがなければ、この資本性ローンの取扱は増えないものと考えています。ただ、これはあくまで私の予想に過ぎませんので、今後の実際の動きについては、逐次、お知らせしていきます。