鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

売上増加は必ずしも利益を増加させない

税理士の永澤真司さんが、ダイヤモンドオ

ンラインに寄稿した記事を読みました。


(ご参考→ https://bit.ly/2szmlgd


記事の主旨は、売上を増加させるために、

変動費比率を高くしたり、高額な投資をし

て固定費比率を高くすると、利益が少なく

なったり赤字になる可能性があるので、限

界利益は最低限でも20%を上回るよう、

きちんと管理しなければならないというも

のです。


ちなみに、限界利益についておさらいする

と、限界利益とは、売上高から変動費を差

し引いた残りです。


限界利益=売上高ー変動費


なお、売上高は、変動費、固定費と利益の

合計なので、限界利益は固定費と利益の合

計額と等しくなります。


限界利益=(変動費+固定費+利益)-変

動費=固定費+利益


そして、事業が赤字になってしまう理由で

最も多いのは、変動費が多い、すなわち、

限界利益が少ない時です。


これを数式から説明すると、限界利益は固

定費と利益の合計額ですが、もし、限界利

益が固定費よりも少ないと、利益はマイナ

ス、すなわち赤字になります。


これを言い換えると、限界利益で固定費を

カバーできないと赤字になるということで

す。


このようなことが起きてしまうのは、採算

が得られているかどうかを変動費だけで見

ていると、「売値は仕入値より高いから、

採算は得られるだろう」という誤った判断

をしてしまいがちなので、永澤さんの指摘

するとおり、限界利益率をきちんと管理し

て、それが20%を上回るようにしなけれ

ばならないということです。


ところで、ここまでの理論は理解できると

して、それでは限界利益率が20%を超え

るようにするにはどうすればよいのかとい

うことです。


これは、私の経験から感じることなので、

客観的な根拠はないのですが、「いまから

始めようとする事業は、限界利益率が20

%を超えそうだから始めよう」と考えてか

ら事業に着手する人は少ないということで

す。


永澤さんの記事にも出てきますが、「衣料

品小売業を営む会社が、限界利益率を軽視

してレストラン営業を始めたケース」とい

う例は意外に多いように感じます。


このような多角化は、相乗効果を高める、

余剰人員の活用など、いくつかの理由が考

えられますが、利益が得られなければ、新

しい事業を始める意味はなくなります。


今回の記事のテーマは限界利益ですが、事

業を開始するからには、その事業はきちん

限界利益(≒付加価値)を確保できる事

業なのか見極めることが重要だということ

です。


ある意味、事業を開始することは難しいこ

とでありません。


大切なことは、きちんとした限界利益が得

られるかどうかということです。


事業活動をする中で、商品が売れれば現金

が入るので、その時は事業がうまくいって

いるように感じることもありますが、現金

が入るときに、きちんと限界利益が得られ

ていなければ、現金(利益)は手元に残ら

ないという観点から、事業をとらえてみる

ことが大切ということが、今回の記事の結

論です。


繰り返しになりますが、事業活動の目的は

売上を得ることではなく、限界利益(≒付

加価値)を得ることであるという観点は欠

かせません。

 

 

 

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