鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

事業承継の本当の課題は財務管理

中小企業庁が8月に公表した、「信用補完

制度見直し後の対応について」によれば、

「事業承継を予定している企業のうち、一

定の要件を満たす企業を対象として、経営

者保証を非徴求とする、新たな信用保証制

度」が創設される見込みです。


(ご参考→ https://bit.ly/2Qjqmik


具体的には、「事業承継の際に新規に実行

する保証付き融資だけでなく、経営者保証

を徴求している既存のプロパー融資を、経

営者保証を非徴求とする信用保証付き融資

で借り換える場合にも利用可能な制度とす

る」もので、「民間金融機関のプロパー融

資の経営者保証解除を促すとともに、事業

承継を予定している企業の資金繰を支援す

る」制度のようです。


これは、独立行政法人中小企業基盤整備機

構の調査で、事業承継を検討する際におけ

る延期・断念の理由として、「後継者に経

営者保証を負わせたくない」が56.0%

であること、後継者が見つからない理由と

して、「後継者候補はいるが、経営者保証

を理由に拒否している」が11.9%と、

「後継者候補はいるが、経営者保証以外の

理由で拒否している」の6.4%と比較し

て高いという状況が背景にあるようです。


(ご参考→ https://bit.ly/2XlYA6f


それでは、「新たな信用保証制度」の「一

定の要件」はどういうものかというと、

(1)資産超過、(2)返済緩和中ではな

い、(3)EBITDA有利子負債倍率

(=(借入金-現預金)÷(営業利益+減

価償却費))が10倍以内、(4)社外流

出がない(法人と個人の資産が分離されて

いる)等の4つの要件を満たすことが検討

されているようです。


この4つの要件のうち、(1)と(2)は

それほど難しくない要件であり、また、あ

る意味、健全な会社であると認められるた

めの当然の要件です。


しかし、(3)については、やや、難しい

かもしれません。


(3)の条件は、ひとことで言えば、現在

の有利子負債額が、年間の利益と減価償却

費の合計額の10倍以内なので、黒字で、

かつ、ある程度の高さの自己資本比率が要

求されます。


しかし、実態として、もっとたいへんなこ

とは、(4)の法人と個人の資産の分離か

もしれません。


これは、私の経験から感じることなのです

が、業況のよい会社は法人と個人の資産の

分離ができていますが、業況のよくない会

社は法人と個人の資産の分離ができていな

い傾向にあるように感じます。


その理由ですが、これも感覚的なものなの

ですが、業況のよくない会社は法人と個人

の資産の分離ができていないというより、

経理がしっかりできていないということだ

と感じています。


もし、経理がしっかりできていれば、ある

程度は、法人と個人の資産の分離が明確に

なるのではないかと感じています。


ちょっと説明が荒っぽいのですが、経理

しっかり行って、法人と個人の資産の分離

を明確にできるようにすることは、財務状

況を改善することと同じくらい、難しい課

題になっている状況が実態ではないかと、

私は感じています。


したがって、円滑な事業承継をするため

に、「新たな信用保証制度」を利用しよう

と思っても、まず、中小企業自身が、財務

状況を改善したり経理体制の整備したりす

るという課題を解決しなければならないこ

とになるでしょう。


ということは、結局のところ、事業承継の

課題は、財務・経理の課題になってしまう

という状況に、現在の多くの中小企業がお

かれているということが、今回の記事の結

論です。


もちろん、銀行も、融資相手の会社の事業

承継が円滑になるような支援に対して努力

することが求められますが、最終的には、

中小企業の努力なしには、それは実現しな

いということも事実でしょう。





※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/






f:id:rokkakuakio:20191116083255j:plain




●12月13日(金)ランチ会兼勉強会のお

知らせ

 

12月13日(金)12時00分から、東

京都千代田区秋葉原駅の近くのレストラ

ンで、少人数に限定して、昼食をとりなが

らの融資に関する勉強会を開きたいと思い

ます。

 


■日時:令和元年12月13日(火)

12時00分~14時00分


■会場:和食ダイニングまぐろ問屋十代目

彌左エ門 アトレ秋葉原2店

東京都千代田区神田花岡町1-9

アトレ秋葉原2 4階


JR秋葉原駅昭和通り口を出て、すぐ左側

にあるエレベーターで4階に上がってくだ

さい。


東京メトロ日比谷線をご利用の場合、秋葉

原駅3番出口を出ると、正面にエレベータ

ーが見えます。


地図→ https://bit.ly/2lV8tZO

 

■参加費:1,000円(消費税込み)

当日、会場でお申し受けします。


別途、お食事をご注文し、各自、ご精算く

ださい。


■その他:食事をオーダーするという条件

を満たしていただければ、遅れての参加、

中途での退室は可能です。当日は、ご参加

いただいた方からの質問もお受けします。


■参加申し込み方法:フェイスブックイベ

ントページで、「参加」ボタンを押してく

ださい。→

https://www.facebook.com/events/532327930944980/