鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

製造業のサービス業化

先日、コレットチャックなどを製造してい

エーワン精密に関する日経ビジネスの記

事を読みました。


(ご参考→ https://bit.ly/2zftulm


ちなみに、以前、同社創業者の梅原勝彦さ

んのご著書、「日本でいちばんの町工場

エーワン精密の儲け続けるしくみ」

( https://amzn.to/2I2qi43 )についてご

紹介し、同社の強さは透明性の高さという

ことを書きました。


(ご参考→ https://bit.ly/33M31df


今回、紹介した日経ビジネスの記事では、

同社の利益率の高さは、超短納期の実現で

あるということが、主要な内容になってい

ます。


具体的には、同社ではコレットチャック

午後3時に受注しても、当日発送が可能で

あり、その速さから同社の顧客の9割がリ

ピート客になっているそうです。


では、同社ではどうやって超短納期を実現

しているのかというと、多くの半製品を在

庫として持っているという工夫もあります

が、人への投資を惜しまないということだ

そうです。


すなわち、超短納期は高い技術力で実現で

きるわけではなく、従業員の熟練したスキ

ルが必要であり、そのために、従業員はす

べて正社員として、2年かけて育成してい

るということです。


この超短納期ができることで、納品先はコ

レットチャックが壊れてラインが止まって

いても、同社に発注すれば翌日には再稼働

できるので、やや高めの価格で販売できる

ということです。


よく、マーケティングマイオピアを説明す

るエピソードして、米国の経営学者である

レビットが著書で紹介したエピソードに、

「昨年、4分の1インチ・ドリルが100

万個売れたが、これは、人々が4分の1イ

ンチ・ドリルを欲したからではなくて、4

分の1インチの穴を欲したからである」と

いうものがあります。


これは、「人は製品を買うのではなく、製

品のもたらす恩恵(ベネフィット)を買う

のである」という示唆ですが、エーワン精

密でも、コレットチャックを売っているの

ではなく、工場をすぐに再稼働させるとい

う恩恵を売っているから、高い利益率を得

ているのだと思います。


ただ、ここまでのことは、ここで私が改め

て述べるまでもないことなのですが、なぜ

記事にしたのかというと、同社では人への

投資に集中しているということが特筆すべ

きだと感じたからです。


やはり、従業員全員を正社員として雇い、

かつ、2年かけて育成するということは、

なかなか実践できないことだと思います。


でも、同社では、前述のように、顧客は同

社の製品ではなく、「超短納期」を買って

くれているということを十分に理解してい

るからこそ、人への投資に踏み切れるので

しょう。


ちなみに、2007年に梅原さんから社長

を引き継いだ林哲也さんは、野村証券の元

社員で、2004年に同社が上場するとき

に同社を担当した方だそうです。


製造業において、証券会社出身者が社長を

務めるということは珍しいことですが、こ

れは私の創造ですが、同社が製造だけでな

く、「超短納期」というソリューションを

顧客に提供することを最重要視している人

事なのではないかと思います。


今回の記事の結論は、業種は製造業であっ

ても、販売しているものは、「製品」では

なく「ベネフィット(または、ソリュー

ション」)であり、そのためにはこれから

の製造業は、これまで以上の経営資源をあ

てる必要があるということです。

 

 

 

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