鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

株式会社

最近、起業する方のほとんどは、株式会社

を設立するようです。


これは、私が述べるまでもなく、株式会社

で事業を行うことが、取引先からの信用が

得られやすいからという理由によるものの

ようです。


しかし、「株式会社」とひとくちに言って

も、株式会社にたくさんの「種類(?)」

があることを知っている人は、意外と少な

いとも感じています。


まず、株式会社は、委員会等設置会社、監

査等委員会設置会社と、そのいずれでもな

い従来からあるタイプの会社の3つに分か

れます。


委員会等設置会社と監査等委員会設置会社

は、大規模な会社を前提にしている会社な

ので、起業家が起業するときは、ほとんど

は従来からあるタイプの株式会社を設立す

るようです。


さらに、従来からあるタイプの株式会社

は、公開会社と公開会社でない会社(いわ

ゆる譲渡制限会社)に分かれます。


公開会社とは、「株式の全部または一部の

譲渡のときに会社の承認が不要な会社」の

ことです。


(かつて、証券取引所に株式を上場してい

る会社、すなわち上場会社を指して公開会

社と呼んでいたことがあり、いまでも、上

場会社を公開会社ということがあります

が、ここでは会社法第2条第5項で指す公

開会社を前提に述べて行きます)


したがって、譲渡制限会社は「株式の全部

の譲渡のときに会社の承認が必要な会社」

ということになります。


また、公開会社と譲渡制限会社に、それぞ

れ大会社と大会社でない会社(いわゆる小

会社)があります。


大会社とは、資本金が5億円以上か、負債

の部の額が200億円以上の会社です。


理論上、公開会社の小会社や、譲渡制限会

社の大会社は存在しますが、きちんと調べ

たわけではないものの、私は、公開会社の

小会社はほとんど存在しないと思っていま

す。


なぜなら、譲渡制限会社は取締役の任期が

最長10年であるのに対し、公開会社は最

長2年であること、そして取締役会や監査

役の設置が義務付けられており、規模の小

さい会社があえて手続きの煩雑な公開会社

にすることは考えにくいからです。


したがって、小会社はほぼ譲渡制限会社と

いうことになると思います。


なお、会社法の指す大会社と、いわゆる大

企業は異なります。


とはいっても、直接的に大企業の法律上の

定義はなく、中小企業基本法第2条に中小

企業の定義があるので、それに該当しない

会社を大企業と考えることができます。


それによれば、製造業の場合、資本金が3

億円以下か従業員数が300人以下の会社

が中小企業なので、資本金が3億円を超

え、かつ、従業員数が300人を超える製

造業を営む会社は大企業ということになり

ます。


なお、実際には存在しないかもしれません

が、資本金が5億円で従業員数が300人

の製造業を営む株式会社は、会社法の定義

では大会社であるけれども、中小企業基本

法の定義では中小企業ということになりま

す。


ここまで株式会社について述べて来ました

が、結論は何かというと、公開会社の大会

社も譲渡制限会社の小会社も同じ株式会社

であることに、私が少し残念さを感じてい

るということです。


なぜかというと、かつて、最低資本金制度

という制度があり、その時は、株式会社を

設立するには1,000万円の資本金が必

要でした。


そこで、資本金1,000万円を準備する

ことができない起業家は、いったん、最低

資本金が300万円だった有限会社を設立

し、近いうちに株式会社にしようと、懸命

に事業を拡大していました。


(ちなみに、資本金を300万円用意でき

ない場合は、個人事業主としてスタートす

る方が多いようでした)


また、起業しようと考えていた方は、最低

限必要となる資本金をためるところから準

備をしていました。


ワタミ創業者の渡邉美樹さんも、会社を

設立するために、ドライバーとして佐川急

便に1年間勤務して300万円を貯め、ワ

タミの前身の有限会社渡美商事を設立した

ときいています)


しかし、現在の法律では、最低1円の出資

でただちに株式会社を設立できてしまうの

で、すべてではありませんが、会社を設立

できたところで満足してしまう経営者もい

るように思います。


確かに、会社や事業は必ずしも大きくする

必要はありませんが、表向きは株式会社と

いう看板にしておきながら、実態は個人商

店の状態が続いていては、もったいないと

私は感じています。


起業当初は規模は小さい状態になることは

当然ですが、「株式会社」で事業を行うと

決めた方は、ぜひ、実態も株式会社にふさ

わしいものとなることを目指していただき

たいと私は考えています。


では、「実態も株式会社である」とはどう

いうことかというと、これも、ひとそれぞ

れに考えがあるので一概には述べることは

難しいのですが、私は、まず、経営者保証

ガイドラインで、融資を受ける会社が要請

されている条件を満たすところから目指し

ていただきたいと思っています。


(ご参考→ https://bit.ly/2KZkdDP

 

 

 

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