鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

固定費は赤字の原因か?

私が銀行に勤務していたときのことです

が、ときどき、融資を受けている会社の経

営者の方から、自社の業況の説明を受ける

とき、「固定費が多くて、なかなか黒字に

ならない」という言葉を耳にしました。


このような説明の仕方は、あまり適切では

ないということは、多くの方がご理解いた

だけると思います。


きびしい言い方ですが、支出が収入を上回

れば赤字になるのは当然で、固定費がどれ

だけ多かったとしても、経営者の方が事業

を黒字にしなければならない責任は免れる

ことはできません。


もう少し詳しく述べれば、変動費は商品や

材料の仕入れ代金なので(厳密には、製造

業の工場で働く人の賃金や製造工程に関す

る外注費も変動費です)、極端なことを言

えば、仕入れた値段と同じ値段で販売して

も、変動費だけで赤字になることはありま

せん。


ですから、事業で黒字を確保するというこ

とは、粗利益が固定費を上回るようにしな

ければならないということと言えます。


ただ、経営者の方が「固定費が多くて…」

と言いたくなる気持ちを理解できなくもあ

りません。


なぜなら、固定費は経営者から見てコント

ロールしにくいからです。


例えば、固定費の主な要因のひとつは人件

費ですが、実態としては、固定費が多いか

らといって、直ちに従業員数を減らすとい

う訳にはいかないと思います。


例えば、粗利益率20%の会社が月給20

万円の従業員を5人雇用しているとすれ

ば、その5人の給与を支払うために、月商

500万円(=20万円×5人÷20%)

は獲得しなければなりません。


実際には、人件費以外にも固定費は発生す

るので、その2~3倍の売上は必要でしょ

う。


そこで、売上があまり多くない会社の経営

者の方は、固定費を賄うために売上を得な

ければならず、自社は固定費が多いという

印象を持ってしまうのだと思います。


これに対して、どう対処すればよいかとい

うと、ひとつは固定費を減らすことで、も

うひとつは粗利益を増やすことです。


ただ、中小企業は弱者の戦略を採るべきで

あり、強者の戦略である固定費を減らす方

法は採るべきではありません。


そこで、中小企業にとっては、付加価値を

増やすことの重要性が高くなります。


その詳しい方法は割愛しますが、付加価値

を増やすためには、仕組づくりが大切にな

ります。


具体的には、競争力の高い商品開発をした

り、販売する従業員の方の能力を高めたり

ということです。


そして、その仕組みづくりには、経営者の

方のマネジメントスキルが大きく問われる

ことになります。


今回の記事の結論は、中小企業において黒

字を確保することとは、固定費以上の粗利

益を得ることであり、そのためには事業そ

のものにばかり目を向けず、多くの粗利益

を得るための仕組みづくりに軸足を置かな

ければならないということです。

 

 

 

 

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