鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

モラトリアム法のつけ

先日、日本経済新聞が、中小企業金融円滑

化法(モラトリアム法)に関する記事を報

道していました。


(ご参考→ https://goo.gl/n27Bck


すなわち、モラトリアム法に基づいて、地

方銀行が融資の返済を猶予していた会社が

経営破たんし、その結果、地方銀行がその

会社に対して債務免除をすることになった

というものです。


モラトリアム法が施行される前でも、銀行

は、業績の良くない会社であっても、融資

の返済を猶予することで業績が回復する見

込みがあれば、返済猶予に応じていました

が、同法は、実質的にどんな会社でも融資

の返済を猶予することを銀行に応じさせる

ものでした。


その代わり、これも正確な表より現ではな

いことをご了承いただきたいのですが、金

融庁は、返済猶予に応じた会社への融資は

不良債権としなくてもよいということにし

て、銀行が返済猶予に応じやすくなるよう

な配慮も行われていました。


このモラトリアム法は、功罪の双方がある

と思いますが、私は、前述の記事にもある

ように、「罪」の方が大きいと思っていま

す。


モラトリアム法は、平成25年3月に効力

がなくなったものの、その後も金融庁は、

同法に基づく対応と同様の対応を、引き続

き実施するよう、金融機関に要請していま

す。


しかし、今年3月で金融検査マニュアルが

廃止されることもあり、これからは、金融

機関の自主的な判断がより尊重されるよう

になることから、返済猶予はより現実的な

再生見込みがない会社に対しては応じても

らえなくなると私は考えています。


今回の記事の結論は、現在は規制緩和が進

んでいることから、「弱者」という前提で

中小企業を配慮する施策は減っていくこと

が明確になりつつあるということです。


このひとつの例は、金融検査マニュアルの

廃止です。


でも、規制緩和が進んでいるということの

裏を返せば、中小企業も大企業と互角に戦

える時代でもあるので、そういう技術やス

キルを持っている会社こそ、銀行からより

多くの支援を受けることができるようにも

なってきていると、私は考えています。

 

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20190116202710j:plain