鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

なぜ利益を得なければならないのか

答えが分かっているようで、意外と答えら

れない質問に、「会社はなぜ利益を得なけ

ればならないのか」というものがあると、

私は思っています。


これについては(反論もあるかもしれませ

んが)、答えを先に述べると、株主の財産

を増やさなければならないからです。


例えば、銀行に預金をする最大の目的は、

金利息を得て、財産を増やすためです。


預金をすれば利息が得られるところを、銀

行に預金をせずに、会社に出資している株

主は、預金以上の配当(および、株価上昇

による売買益)をあてにしています。


しかし、出資している会社が利益を得てい

なければ、配当を得られないので、そうで

あれば、株主は、その会社から出資を引き

あげて、ほかの会社に出資したり、銀行に

預金をしたりするようになるでしょう。


ここまで、会計的な理屈を書いてきたので

すが、今回、なぜこのようなことを書いた

のかというと、会社が利益を得なければな

らない理由が知られていないということよ

りも、会社が利益を得なければならなない

理由の優先順位を低く考えている経営者の

方が、特に、オーナー会社の経営者(=株

主=オーナー)に多いと感じているからで

す。


オーナー会社の場合、経営者=株主なの

で、「会社が赤字になり、株主の財産が減

る」ことになっても、経営者が株主に批判

されたり解任されたりするということはあ

りません。


そのようなことがあってか、オーナー会社

では、経営者が会社が赤字になることに寛

大であったり、利益のため事業をしている

のではないと主張したりすることを見るこ

とがあります。


私は、このような考え方や主張は誤ってお

り、経営者が自らの責任を回避しようとし

ているだけだと思っています。


仮に、会社の株式のすべてを社長ひとりが

持っているとしても、会社には従業員が働

いていたり、銀行が融資をしていたりする

ので、その期待に応える必要があります。


従業員や銀行などの利害関係者(ステーク

ホルダー)からの協力を得て、会社の事業

が成り立っている以上、利益を得ることは

最優先されなければなりません。


換言すると、ステークホルダーは慈善で会

社に協力してはいないので、協力への見返

りは金銭で行わなければならず、もし、経

営者が「会社は利益を目的としていない」

という主張をしたら、会社に協力する人や

会社は、早晩、いなくなるでしょう。


(話がそれますが、利益を得ることを最優

先することと、利益を得るためには何をし

てもよいということは異なりますので、念

のため言及しておきます)

 

 

 

 

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