鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

融資と出資

前回の記事で、「銀行から融資を受けてい

る会社は、返済に関して、意識を強く持つ

べきである」ということを書きましたが、

今回は、その理由について述べます。


それは、融資は返済しなければならないか

らです。


これは、当りまえ過ぎることなので、何を

言っているのだと思う方が多いと思います

が、伝えたいことは、融資は他人資本とい

うことです。


他人資本という言葉は、あまり耳にするこ

とはありませんが、その対義語の、自己資

本は耳にすることは多いと思います。


自己資本は、株主からの出資金が主なもの

ですが、この自己資本は、会社はずっとそ

のまま使い続けることができます。


このような面で、「自己」資本と言えると

思うのですが、「自己」は、もうひとつの

意味もあります。


それは、出資者、すなわち株主の意思を、

事業活動に反映させなければならないとい

うことです。


それは、具体的には、株主は議決権を持っ

ている、すなわち、会社は株主のものとい

うことです。


そして、会社が自己資本を自由に使えるの

は、会社の持ち主である株主の意図に従っ

て事業活動を行うからであり、そういう意

味で「自己」資本と言えます。


ただ、オーナー会社の場合、社長=株主な

ので、株主の存在を意識することはほとん

どないと思います。


話を融資に戻すと、融資は、「他人」であ

る銀行に、自社の事業活動に協力すること

を依頼し、それに同意を得て、資金提供を

してもらうものです。


したがって、これも当然ですが、会社に対

して資金提供をしているという役割では同

じでも、「他人」である銀行は、「自己」

であ株主よりも、資金提供をした結果に対

する責任は軽いことになります。


すなわち、貸手責任は株主責任より軽いと

いうことです。


その違いの具体的な例は、融資は、約束に

したがって返済を受けられること、事業の

業績が悪くなり、利益が少なくなっても、

約束通りの融資利息を得られることなどで

あり、この点では銀行は株主よりも負担が

軽くなっています。


ここまで、事業活動に対する資金提供につ

いて、会計的な意味について書いて来たの

ですが、お伝えしたいことは、銀行は、自

社の事業の当事者(自己)ではなく、協力

者(他人)であるので、協力の要請(融資

の申込)や、融資を受けた後の融資金の返

済は避けられないということです。


この結論も当たり前のことなのですが、一

方で、銀行に融資の申し込みをすることは

面倒であるとか、銀行は自社のことを理解

してくれていないと考える経営者の方を見

ることがあります。


そのような考え方をする経営者は、銀行に

対して、自社の事業活動の当事者であって

欲しいと考えてしまっているからだと思い

ますが、銀行は、協力者に過ぎないという

ことを理解すれば、その考え方は正しくな

いということが分かるでしょう。


もし、金融機関に対して、当事者として立

ち回ってほしいという場合は、ベンチャー

キャピタル(VC)という金融機関に出資

をしてもらうという方法がありますが、恐

らく、経営者にとっては、銀行よりもVC

の方が、資金提供をしてもらうための労力

が、何倍も大きくなると思います。





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