これは意見が異なる方もいますが、私が銀
行勤務時は、役員報酬も会社の利益と考え
て融資審査をしていました。
なぜなら、いわゆるオーナー会社では、会
社と経営者は実態としてはひとつであるこ
とと、役員報酬は経営者の一存で決めるこ
とができるからです。
すなわち、会社の利益を、会社に残す場合
が内部留保であり、役員個人の貯蓄として
残す場合は役員報酬として役員に支払われ
るということです。
具体的な数字で示すと、役員報酬が5,0
00万円で会社の利益が1,000万円の
A社と、役員報酬が2,000万円で会社
の利益が2,000万円のB社では、会社
単体ではB社の方が利益が多く成績がよい
と言えます。
しかし、前述のように、会社を全面的に支
えている経営者の報酬まで利益ととらえて
考えれば、A社の方が業績がよいと考える
ことができます。
(ただし、役員報酬の金額の決定は、厳密
には株主総会の承認が必要であり、事業年
度の中途で変更することによって税務上の
問題も起きるなど、一定の制約があります
が、ここでは詳細な説明は割愛します。
とはいえ、利益があまり多くないた状況で
は、役員報酬を減らして会社を黒字にした
いという考え方も理解できます。
その一方で、オーナー会社の経営者は、そ
れなりの責任を負って会社を経営している
以上、あまり低過ぎる役員報酬は不適切で
しょう。
具体的な金額は会社の事情によって異なり
ますが、一般的な役員報酬の相場と比較し
て自社の役員報酬が低い場合は、その相場
との差額は役員が会社へ寄付していること
と変わらないことになります。
また、もし相場通りの役員報酬であれば、
会社の利益額はどれくらいになるのかとい
うことも、融資審査においては考慮される
でしょう。
繰り返しになりますが、会社の決算を黒字
にするために、役員報酬を減らすという対
応も選択肢のひとつとは思いますが、それ
は根本的な解決方法ではないということで
す。
本来は、一般的な相場程度の役員報酬を支
払った上で、会社が黒字となることを目指
すことが基本ということが今回の記事の結
論です。
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