先日、従業員が10名ほどの、ある製造業
の会社経営者夫婦とお話する機会がありま
した。
その中で、先日採用した、ある従業員の方
についてお話をしてもらいました。
その方は、採用面接のときに、ひとことも
お話しなかったそうです。
そして、おそらく公共職業安定所の方から
聞いていたのだと思いますが、他の会社の
採用面接でもひとこともしゃべらなかった
ので、何社からも不採用が続いていた方
だったそうです。
しかし、その経営者の方は、その応募者の
方が、自動車運転免許証を取得していたこ
とから、きちんとものごとをやり遂げるこ
とができる人だと考え、採用することにし
たそうです。
そして、その方は、採用後は真面目に働き
続け、一度も欠勤したことがないというこ
とでした。
おそらく、他の従業員の方の中には、突然
欠勤する人もいるからなのかもしれません
が、その経営者の方は、その従業員の方を
採用してよかったと感じているようです。
ここまでご紹介したできごとは、人には必
ず長所があるから、採用は前向きに考える
ことが大切だ、ということを伝えるために
書いたと受け止められるかもしれません。
でも、私がお会いした経営者の方と同じよ
うなことをしている経営者の方は、すでに
たくさんいらっしゃると思うので、私があ
えて薦めるまでもないと思っています。
では、なぜ、この記事に書いたのかという
と、少ないチャンスを活かそうとすること
が大切だと思ったからです。
前述のお話の従業員の方は、結果として真
面目に働く人でしたが、もしかしたら、あ
まり仕事に熱心でない人であったり、他の
従業員の方とうまく仕事ができない人だっ
たかもしれません。
それでも、そのリスクを承知で前述の経営
者の方は採用する決断をしました。
もし「採用で失敗したくない」と考えてい
たとしたら、他の会社のように、不採用と
していたことでしょう。
そして、会社経営というのは、このような
経営者の方の決断の積み重ねが基本になっ
ていると私は考えています。
話が飛躍するかもしれませんが、最近、官
庁で障害者の雇用者数を水増ししていたこ
とが分かりました。
確かに、障害者の方の雇用数は法律で義務
付けられていますが、その前に、どんな人
にも活躍できる機会をつくろうということ
が法律の主旨であり、官庁こそ、そのお手
本を示す立場にあると思います。
でも、水増しをした官庁は、恐らく、法律
に満たない数の障害者の方を受け入れるべ
きところを、それを億劫がって、数字だけ
とりつくろったのでしょう。
法律違反したことも問題ですが、法律の主
旨を理解するどころか、障害者の方の権利
を踏みにじる行為の方が、もっと問題だと
私は考えています。
そして、官庁がそのようなことをする背景
には、前例踏襲という悪しき慣習に支配さ
れているからではないでしょうか?
話を戻して、前述の従業員の方は、障害者
の方ではありませんが、人とのコミュニ
ケーションに難がある人であり、経営者の
方はあえてその方を採用するという、英断
をしています。
そして、失敗の可能性も許容して、なんら
かの決断をすることなしには、事業は前進
しないというのが、この記事の結論です。
文字数の兼ね合いで詳細な説明は割愛しま
すが、「前例踏襲」するだけで事業が発展
するのであれば、経営者は不要です。
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