午後の紅茶とポッキーのコラボレーション
について、そのプロジェクトチーム自らが
書いた本、「ブランドのコラボは何をもた
らすかー午後の紅茶×ポッキーが4年続く
理由」( https://amzn.to/2JLSyE7 )を読
みました。
最近、ダブルブランドの商品を多く見かけ
るようになりましたが、それらはどうやっ
て生み出されたのだろうかということが気
になっていたので、この本を読んでみるこ
とにしました。
内容としては、想像していたより奥深さを
感じました。
コラボ商品なのだから、ポッキー味の午後
の紅茶とか、午後の紅茶味のポッキーでも
十分ではないかと私は考えてしまうのです
が、ポッキーのメーカーの江崎グリコ、午
後の紅茶のメーカーのキリンビバレッジ、
そして広告代理店の電通の3社で組まれた
プロジェクトチームでは、もっと高度なコ
ラボを実現することを目標として、ポッ
キーという商品開発は封印したそうです。
そのため、様々な検討が行われましたが、
ブレインストーミングをする中で、「プリ
ンに醤油をかけるとウニになる」という、
あるメンバーのつぶやきがきっかけとな
り、「単品でもおいしいが、それだけでは
完結しない、2商品を食べ合わせると、さ
らに新しい味覚が生まれる」というアイ
ディアで商品を開発することになったそう
です。
その結果、アップルシナモン味の午後の紅
茶と、バターカスタード味のポッキーを同
時に食べると、口の中でアップルパイ味が
完成するという商品を開発したそうです。
ちなみに、その後、ヨーグルト風味の紅茶
と、レモン味のポッキーで、レアチーズ
ケーキ味を完成させる商品も開発されてい
ます。
また、パッケージのデザインも統一するこ
とは当然ですが、片方に女性、片方に男性
のイラストを描き、両者を合わせると1枚
の絵になるというペアリングパッケージも
行いました。
これは、セット買いをしてもらうための工
夫です。
そして、このプロジェクトがこのような商
品を開発してきた目的は、女性が直感で食
べてみたいと感じる商品を世に送ることで
あり、2つの商品のファンを増やすことで
した。
ここまでが本の概要なのですが、すでに、
単に、おいしいお菓子を製造して販売する
というだけでは競争に勝てない時代にある
中で、商品開発の最先端ではどのようなこ
とが行われているのかという理解すること
ができました。
これは私の経験から感じることなのです
が、確かに買い手の要望に応じる商品を開
発しようとする人はたくさんいると思いま
すが、そうであっても、売り手として専門
的な知識を持っている立場から、知識が少
ない買い手に新商品を提案をするというよ
うな、売り手の視点で商品を開発している
例が多いのではないかと思います。
だからといって、大規模なマーケティング
リサーチをするということまでをしなくて
も、どういう商品だったら買いたいかとい
う視点から商品を開発している会社は少数
だと思います。
この件についてもう一歩足を踏み入れて述
べると、起業をする人は「こういう商品を
売りたい」という動機で起業をする方が多
いので、その動機で起業してしまうと、売
るものを変更することに硬直的になってい
る、すなわち商品ありきで事業が行われて
いるとも言えます。
一方、繰り返しになりますが、前述のポッ
キーと午後の紅茶のプロジェクトの場合、
女性が直感的に食べたいと思う商品を開発
することが目的なので、商品そのものはプ
ロジェクト発足の後に決まりました。
すなわち、「何を売るかではなくどう売る
か」ということが課題になっていました。
これは多くの方がご理解されることだと思
うのですが、意外と見落とされていること
ではないかと私は考えています。
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