銀行との融資交渉の説得力を高めるには、
きちんとした資料を提出することが基本に
なります。
その中で、いちばん必要とされるものは、
資金繰(予定)表です。
資金繰(予定)表を提出すれば、ほかには
資料を提出する必要がなくなるわけではあ
りませんが、融資申込を受けた銀行職員が
いちばん確認したいところは、今後のお金
の流れです。
これを、口頭だけで説明されると、銀行職
員が融資稟議書を作成するまでに時間を要
してしまいますが、資金繰(予定)表を作
成して提出してもらえるだけでも、融資稟
議書の作成の負担が減ります。
ところが、融資申込をする側も、この資金
繰(予定)表の作成は負担のようです。
なぜなら、過去の月次試算表などは、日常
行っている経理の仕訳データを基に、会計
ソフトが自動的に作成してくれますが、未
来に向けた資金繰(予定)表は、それを作
成するためだけに、入出金の予定のデータ
を集めなければならないからです。
(資金繰表は、過去の資金の移動を示すも
のと、将来の資金の移動の見込みを示すも
の(資金繰予定表)がありますが、以下、
この記事では、単に資金繰表と記述した場
合、資金繰予定表のことを指すものとしま
す)
もうひとつは、これは単純な理由なのです
が、経営者の方や、経理担当者の方が、な
ぜ、資金繰表を作成する目的を理解してい
ないということです。
別の言い方をすると、経営者の方は「今月
の支払日にお金が足りなくなる」という大
まかなことはわかっているものの、なぜ不
足するのかというまでは分かっていないと
いうことです。
もちろん、資金繰表だけでお金が不足する
理由が判明するわけではないのですが、ど
のタイミングで、何の支払のために、いく
らくらの金額が不足し、その資金不足はど
のタイミングで解消できる見込みなのかと
いうことが資金繰表で把握できます。
銀行は、これらの情報があるだけでも融資
の判断が容易になります。
資金繰表を作る側も、その作る目的がわ
かっていれば、作成のための作業が容易に
なるでしょう。
次に、具体的な作成方法の概略を示しま
す。
まず、翌月1か月間の、収入と支出の見
込みについて、凡その金額ですべて書き
出します。
それを、次のような分類に分けます。
(1)売上収入
ど。
掛売上や手形売上は含みません。
(2)仕入支出
現金仕入・買掛金支払・支払手形決済な
ど。
(3)人件費支出
納付・福利厚生費支払など。
給与から控除する社会保険料などは、給
与支払日ではなく、それらを納付した日
付で支出を計上します。
(4)その他の経費
家賃・水道光熱費・旅費交通費、雑費な
ど。
費用を計上した日ではなく、実際に口座
から引かれた日で計上します。
(5)融資返済等
融資の返済元金、支払利息など。
そして、これらの分類ごとに、日付、支
払相手、金額を表にして記載します。
次に、分類ごとに金額の合計額を記載し
ます。
最後に、月初日の現金預金残高+(1)
の合計額ー((2)の合計額+(3)の
合計額+(4)の合計額+(5)の合計
額)を計算し、それを翌月繰越額として
記載します。
(翌月繰越額はマイナスになることもあ
りますが、いったんそのままで記載しま
す)
これを、翌々月、翌々々月と、6か月分
程度作成します。
これを作成しただけでも、融資申込のと
きに銀行から受ける質問は大幅に減少し
ます。
ご参考までに、資金繰表のサンプルをご
覧になりたい方は、こちらからダウン
ロードしてください。