最近(ではないかもしれませんが)、長時
間労働が批判されるようになってから、退
社時刻を過ぎると、間もなく職場を閉めて
しまう管理職の人が増えているようです。
一方で、たくさんの仕事をかかえているに
もかかわらず、有無を言わさずに職場を追
われる部下にとっては、迷惑になることも
多いようです。
このような、部下の事情も考慮せずに、職
場から追い出されてしまうことを、時短ハ
ラスメント(ジタハラ)と呼ぶ人もいるよ
うです。
職場を早く閉めることが直ちに問題になる
とは限りませんし、また、従業員も勤務時
間を減らす努力が求められることは言うま
でもありません。
しかし、仕事の内容や、やり方の見直しを
することなく、単に「残業は禁止するので
6時には職場を出るように」とだけ指示さ
れても、従業員の負担が増えるだけという
ことは明らかです。
従業員が職場を早く離れることができるよ
うになるには、まず、それを実現するため
の基本的な方針を経営者が示し、それに基
づいて時短のためのさまざまな活動が行わ
れる中で、職場を早く閉じるということが
行われなければ、それは単なる経営者やマ
ネージャーの単なるポーズにすぎないとい
うことになるでしょう。
と、ここまで書いてきたことは、あえて私
が述べることもなく、すでに多くの方が分
かっていることです。
問題なのは、なぜ、分かっているにもかか
わらず、単純に職場を早く閉めるといった
ジタハラが行われるのかということです。
その答えはひとつとは限りませんが、私は
経営の方が課題に対して場当たり的になっ
ているから、単に時間になったら職場を閉
じるということだけをしてしまうのではな
いかと考えています。
(もうちょっと意地悪に考えれば、本心は
単に残業代を払いたくないだけなので、無
理やり定時に職場を閉めているだけと考え
ることもできますが、このように考える経
営者は少数でしょう)
経営者から見れば、なんでも経営者がやら
なければならないのかと感じることと思い
ます。
私も、経営者の方はたくさんの課題をこな
さなければならない点は本当にたいへんだ
と思います。
ただ、それとどう向き合うかが大切なのだ
と思います。
ところで「会社の労務管理は、誰が担うべ
きか?」という問いがあったとき、それは
間違いなく、社長か経営者でしょう。
人事部長が管理することがあるとしても、
その方針はマネジメント層の方針に基づく
ものでなければならないことは、労務とい
う大きな柱に関する事がらである以上、明
らかでしょう。
いままでは、終身雇用制度や年功序列など
の日本的雇用慣行があったことから、残業
や働き方などは、多少、従業員に無理を強
いても問題が表面化しなかったことから、
本当は、経営者がきちんと取り組まなけれ
ばならなかったにもかかわらず、後回しに
されてきたのではないかと私は考えていま
す。
しかし、近年は、日本の雇用慣行がかわり
つつある中で、従業員への無理強いは、も
うできなくなっている状態になっているの
ではないでしょうか。
そうであれば、残業問題などは、きちんと
取り組まなければならない課題であるし、
また、それにきちんと取り組めない経営者
は、今の時代には適さないと言えると思い
ます。