鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

CSRの効果

以前、野村克也さんが阪神タイガースの監

督を務めていたとき、テレビ番組のインタ

ビューで、次のような話をしていました。


すなわち、「シーズン前のキャンプでは、

年に1回使うかどうかというようなサイン

プレーの練習を行っている。


結果として、そのサインプレーをするチャ

ンスはないかもしれない。


でも、そのような練習をさせることによっ

て、選手たちは、『自分たちはレベルの高

い野球をしている』と実感し、士気が向上

する」というものです。


これも説明するまでもありませんが、サイ

ンプレーとは、サインを使って相手チーム

に分からないように味方の選手に指示を出

して行うプレーのことですが、特に、前述

の野村監督の言っているようなサインプ

レーとは、相手の意表をついてあざむくよ

うなプレーを指します。


確かに、プロ野球では年に何度かは、鮮や

かなサインプレーが行われており、胸が

すっとするときがあります。


特に野村監督は緻密な作戦をとる監督だっ

たので、サインプレーにはこだわりがあっ

たのでしょう。


ところで、話を本題にもどすと、これは私

個人の考え方ですが、会社がCSR(企業

の社会的責任)を果たすための活動も、前

述の野村監督の言っていた、滅多に使う機

会のないサインプレーと同じような効果が

あると考えています。


ところで、CSRは、漠然としており、ど

のような責任を指すのかということも広範

囲に及んでいることから、ここでは、CS

Rを、「企業も、社会においては市民の一

員であるという考え方のもと、地域社会、

従業員、自治体などと良好な関係を維持す

るための活動」という前提で述べて行きま

す。


このCSRで私が強い印象を持っている会

社は、島根県大田市にある、中村ブレイス

という会社です。


(ご参考→ https://goo.gl/ykv9QY


同社の規模としては、資本金2,000万

円、従業員数80名という中小企業です

が、義肢装具(義手や義足、人工乳房、装

具など)の製作を行い、売上高は10億円

にのぼる優秀な会社です。


本論からはそれますが、「卓越した技術力

による同社の義肢装具製品は世界30か国

から注文を受け、障がいを持つ人たちの暮

らしに貢献している」そうです。


(ご参考→ https://goo.gl/EwPu8B


同社は、このような書き方は失礼ですが、

中小企業ながらCSRを積極的に実践して

います。


同社はいくつかのCSR活動を行っていま

すが、そのうちのひとつを挙げると、「古

民家再生活動」です。


同社のWebPageによれば、同社のあ

大田市大森町は「大航海時代に銀を求め

て世界中の人々が訪れた場所だった。


この町を再び世界に誇れる町にしたい。


大森で起業した時、(社長の)中村はそう

決意し、その想いを胸に社業の成長ととも

に古民家の再生を始めました。


その後も行政・金融機関の補助は一切受け

ず、全て自力で古民家を買い取り再生して

いきました。


当社はこれまでに約50軒の建物を修復し

てきました。


再生した建物は『町に文化力を』との思い

から迎賓館兼資料館、ゲストハウス、オペ

ラハウスなどに改築しました。


また、地域の方にレストランや喫茶店、ド

イツパンのお店、銀製品のお店などとして

使って頂いています。


そのうち20軒には住居として社員とその

家族など約70人が住んでくれています。


社員を中心にU・Iターンの住民が増え、

人口減少に歯止めが掛かり始めました」と

いうことです。


この活動そのものもすばらしいものなので

すが、さらに私は、このようなすばらしい

活動をしている会社で働く人たちは、自分

が勤めて会社をほこりに思うことができ、

そして、それは働くときによい効果を与え

ると考えています。


それだけがすべてではありませんが、中に

は、顧客や社会から蔑まされていると感じ

ながら働いている人たちもいます。


私も、かつて、銀行で働いていたときは、

「国から支援を受けながら高い給料をも

らっている」などと揶揄され、士気が大き

く下がっていたときがありました。


結論は、従業員の方が勤務先に誇りを持っ

てもらうことは大切で、そのためのひとつ

の方法はCSRということです。


CSRの活動は、直接利益に結びつくこと

がないため、実践には躊躇する面もありま

すが、従業員の方にとって誇れる会社は規

模だけではないという時代になったと言え

ると思います。


むしろ、規模は大きいけれど、勤めている

会社に誇りをもてないという従業員の方も

多いのではないでしょうか?


すなわち、規模の大小ではなく、誇りを持

てるという会社にこそ、よりよい人材が集

まると私は考えています。

 

 

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