鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

特定社債保証制度

今回は、特定社債保証制度について説明し

ます。


特定社債保証制度とは、会社が資金調達を

するために発行する社債について、その社

債を引き受けた人(会社)に対して返済

(償還)の保証をする制度です。


この制度の説明の前に、まず、社債につい

て説明します。


社債とは、会社法で定められた資金調達方

法のひとつです。


会社は社債券を発行し、投資家にそれを引

き受けてもらい資金を調達します。


社債も負債(固定負債)に分類されます

が、銀行からの長期借入金との違いは、次

の通りです。


(1)長期借入金は分割返済だが社債は期

日一括返済である。


(2)長期借入金は変動金利が一般的だが

社債は固定金利である。


(3)長期借入金は借用証書で1対1の取

引だが、社債は複数の投資家から資金調達

し、また社債券は流通性のある有価証券で

ある。


政府も、歳入が不足するために、国庫債券

国債)を発行します。


国債は、複数の投資家が引き受けて、また

投資家の間で売買されます。


一般の会社では、この国債に相当する資金

調達方法が社債ということになります。


それでは、特定社債保証制度について説明

します。


特定社債保証制度とは、会社の発行する社

債に対して、その80%の金額を信用保証

協会が保証することで、一般の社債よりも

資金調達を容易にするものです。


また、保証協会の保証は一般的には2億8

千万円が限度ですが、社債の場合は、保証

額は4億5千万円まで(社債発行額は5億

6千万まで)保証を利用できる点でも有利

です。


ただし、この保証を利用できる条件は、純

資産が5千万円、自己資本比率が20%以

上といった一定の要件が必要です。


なお、この制度を利用した場合、社債を引

き受ける「投資家」は、特定社債保証制度

の申請を仲介する金融機関です。


社債の制度は、不特定の投資家に引き受け

てもらうこととなっていますが、実質的に

は、保証を仲介した金融機関が「融資」を

しているときと同じことになります。


ただし、社債の発行条件は前述の通りであ

り、長期的なまとまった資金を調達しよう

とする会社にとっては有利な制度です。


また、一般的に、社債を発行できる会社は

信用のある会社であり、社債を発行したと

いう事実は、会社の役職員の士気を向上さ

せることにもなります。


さらに、特定社債保証制度を利用した社債

発行は、多くの場合、保証の仲介をした銀

行がプレスリリースを行い、新聞にも掲載

されることから、社会的な信用が増すこと

にもなります。


このように、特定社債保証制度による社債

発行は、資金の調達だけでなく、自社の事

業の発展のメルクマールにもなることです

ので、ぜひ、多くの会社に利用していただ

きたいと思っています。

 

 

 

 

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