鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

どしゃぶりの時に傘を取られないために

「晴れの日に傘を貸し、どしゃぶりの時に

傘を取り上げる」と銀行を揶揄する経営者

の方は多いと思いますが、それでは、

どしゃぶりのときに傘を取り上げられない

ようにするにはどうすればよいかというこ

とについて述べたいと思います。


前述の揶揄は、会社の業況の良い時は、銀

行はおべっかを使うのに、業況が悪くなる

と、手のひらを返したように態度が冷たく

なるということを指しているのでしょう。


これは、明らかに銀行に否があります。


なぜなら、取引先への接し方は、一貫性が

求められるからです。


しかし、銀行は株式会社であり、銀行の業

務は営利事業です。


銀行には融資先の事業を発展させるという

役割もありますが、かといって、損失の出

る取引は避けなければならないという事情

もあります。


ですから、これは銀行だけではありません

が、もうかりそうな相手には機嫌をとり、

もうからなさそうな相手からは距離を置こ

うとするということは仕方がない面もあり

ます。


そこで、お互いに商売を営んでいる立場と

しては、銀行が自社に機嫌取りをしている

ということを真に受けることはあまり賢く

ないとも言えます。


ですから、仮に自社に機嫌取りをしてくる

銀行があったとしても、それは自社がピン

チになったときも続けてもらえるのかどう

かということを、的確に見抜かなければな

りません。


しかしながら、銀行の多くは、業況が悪い

会社とは取引をしたくないと考えていると

いうのが現実でしょう。


ですから、銀行の姿勢を見抜くことよりも

自社と銀行の信頼関係を強くすることの方

が、現実的と言えます。


このように書くと、「融資を受ける会社だ

けが一方的に負担が大きいのではないか」

と感じる方もいると思いますが、逆に、業

績のよい会社は複数の銀行で融資シェアの

奪い合いになります。


ですから、融資を得るための銀行への働き

かけが負担であると感じるとしても、それ

を、不平等と感じることは適切ではないと

私は考えます。


また、銀行から「どしゃぶりのときに傘を

取り上げられた」という会社の中には、

「晴れのときに驕り高ぶっていた」という

会社も少なくありません。


堅実な会社は、業績がよいときも悪いとき

も、一貫して謙虚に銀行に接していると私

は考えています。


銀行に対しては、決して媚びる必要はあり

ませんが、かといって、誠実に向い合うこ

とは、決して損ではないと思います。


話しを戻して、銀行から信頼を得るには、

具体的にどのようなことをすればよいかと

いうと、これも字数の兼ね合いから、概要

のみを書くと、自社の状況をつまびらかに

報告することと、自社の方針を適宜伝える

ことだと思います。


自社の状況をつまびらかに伝えることとは

具体的には、前月の月次試算表を銀行に毎

月持参するか送付することです。


ここで、月次試算表を送ることが、自社の

状況をつまびらかに伝えることになるのか

という疑問を持つ方も多いと思います。


確かに、必ずしもそうとは限りませんが、

年に1回作成される決算書を、銀行から催

促を受けてようやく提出する会社も少なく

ない中にあって、毎月月次試算表の提出を

している会社は、銀行から見れば、提供を

受ける情報の量はかなり多いと受けとめら

れるでしょう。


しかも、月次試算表を銀行に持参する会社

は、その際に、銀行の職員へ数値以外の情

報として自社の状況を伝えるだけでも、融

資稟議書を書くときの好材料が多くなると

感じることができます。


ふたつめの、自社の方針を伝えるというこ

とについてですが、できれば、年に1回、

自社の経営方針発表会を社内で開き、そこ

に銀行職員を招くということをすることが

望ましいと私は考えています。


こうすることで、会社の状況を銀行に理解

してもらいやすくなるだけでなく、自社の

事業に取り組む姿勢が熱心であるというこ

とを銀行職員に感じ取ってもらうことがで

きるでしょう。


発表会に銀行職員に来てもらえない、また

は、発表会を開くことが難しいという場合

は、経営方針を記載した書面を銀行に届け

るだけでも効果はあります。


もし、自社の経営方針を毎年作成すること

が負担であると考えている経営者の方がい

るとすれば、そのようなことをせずに、銀

行にピンチのときは助けて欲しいと願うこ

とは、虫がいいということになるのではな

いかと私は考えます。

 

 

 

 

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