サスティナビリティとは持続可能性の
ことです。
そして、その持続可能性の対象は幅広く、
財務面で事業がうまく続くかどうかと
いうことだけに限りません。
労務関連の法規を遵守し、従業員に配慮
して事業が行われているかどうかという
ことや、自然環境に配慮しているか
どうかということも含まれます。
ただ、その基本は財務面が中心になると
私は考えています。
そして、「起業して10年後に残って
いる会社は30%に満たない」などと
言われているように、会社にとって
事業が持続するための要素はとても
大切だということは、多くの方が
ご理解されている通りです。
しかしながら、起業しようとしている
人の多くは、あまり深い根拠を持たずに
自社の事業は継続すると思い込んで起業
している例を多くみます。
(裏を返せば、事業が継続しないと
思っていれば、起業しない訳ですが)
また、起業を支援するコンサルタントの
中には、起業するまでの手続きなどは
支援するものの、事業を持続させる
ための要素についてまでカバーして
いる人の割合は少ないと感じています。
しかし、このことは、例えば、創業した
ときに必要になる、融資の手続きの時に、
なぜその事業が持続するのかという
見極めをするときに問われるものです。
この見極めは意外と難しく、だからこそ
ほとんどの創業融資は、民間金融機関は
信用保証協会の保証を条件としていると
言えるでしょう。
話しを戻して、今回の本旨は、事業を
起こす場合は、持続可能性が最も大切
だということです。
そして、多くの方はこのことを理解して
いながら、開業をゴールにしてしまう
ことが多いと私は感じています。
このことを理解してもらうために、私は
よく、マザーハウスを起こした山口絵理子
さんを例に挙げて説明しています。
山口さんは、アジア最貧国のバングラデ
シュで、同国の国民の経済力を高める
ために、首都ダッカでジュート(黄麻)を
材料にしたカバンの工場を設立し、日本で
販売しています。
ここでポイントとなるのは、持続可能性
です。
山口さんは、バングラデシュで獲れる
ジュートを単に収穫して輸出するだけ
では、安く買いたたかれて、ますます
同国は貧困になってしまう、すなわち、
持続可能性が得られない。
きちんとした利益を得るためには、
買いたたかれないために価値をつけた
製品を販売することが必要だと考えて
ジュートを材料にしたカバンを作り、
持続可能性のある事業を行うことを
思いついたそうです。
事業の目的は、付加価値を産み出すこと
であり、それは誰でも理解されること
なのですが、「あなたの会社の事業が
産み出している付加価値は何ですか?」、
すなわち、持続可能性はありますかと
いう問いをして答えられる人は意外と
少ないと私は感じています。
もう少し具体的に言えば、事業が赤字に
なっている状態は、付加価値を産み出して
いない、持続可能性が乏しいということに
なります。
もし、自社の事業が芳しくない方は、この
持続可能性をご確認されることをお薦め
したいと思います。