企業会計原則に継続性の原則というものが
あります。
企業会計原則とは、会社の会計の具体的な
原則を示すもので、この手続きに従って
会計の手続きが定められます。
この、企業会計原則のうちのひとつの
継続性の原則は、文字からも分かる通り、
会計の手続きは継続性がなければならない
ということを定めている原則です。
この、継続性の原則は、会計公準の中の
企業継続の公準が前提になっています。
上位の考え方です。
そして、企業継続の公準とは、会社は
半永久的に継続するという前提であると
いう考え方です。
そもそも、会社を立ち上げた方は、
余程のことがない限り、ずっと事業を
続けることを前提としています。
そうでなければ、従業員を終身雇用
することができません。
話しを戻すと、会社は半永久的に継続
するという前提であるために、会計の
手続きは、むやみに変更することは
避けなければならないという原則が、
継続性の原則です。
もうひとつ、継続性の原則の前提と
なっている背景には、会計の手続きは
会社の事業の状況に合ったものとする
というものがあります。
要は、会計の手続きは、凡そ規定されて
いるものの、必ずしもひとつではなく、
会社の事業に合わせて最も適切なものを
会社が選ぶということです。
そして、その会社がいったん選定した
手続きは、前述のとおり、むやみに変更
することは避けなければならないという
ことを、継続性の原則で定めています。
ところで、継続性の原則についてここで
取り上げた理由は、この原則が守られない
ことが多いと、私が感じているからです。
継続性の原則が破られる背景としては、
利益が減少しそうになったり、赤字に
なりそうになったりするときです。
そのようなときは、よくある例は、前期
まで適用していた減価償却を実施せず、
見かけ上の利益を増やすというような
ことが行われます。
その他にも、貸倒の見積もり方法を変更
したり、売上の認識のタイミングの基準を
変更したりします。
(なお、利益額が増加しそうな会社が、
納税額を減らそうという意図で、費用を
増やすために、継続性の原則を破ることも
希にあります)
私は、よく「銀行から信頼される決算書
とはどういう決算書ですか?」ときかれる
ことがあるのですが、これに対しては、
「企業会計原則を守っている決算書です」
と回答しています。
今回は、継続性の原則を説明しましたが、
それは、企業会計原則の中で、最も守られ
ない原則だと感じているからです。
経営環境の厳しい時代にあっては、事業で
利益を継続して獲得していくことは決して
容易なことではありませんが、それは、
会計の原則を無視することで解決すると
いうことはいうまでもありません。
銀行からの信頼を得るためには、会計上の
規則を守ることは欠かせません。