「融資対策」ときくと、何を思い出す
でしょうか?
多くの方は、銀行にどのような折衝を
すればよいのかということを思い
浮かべるでしょう。
しかし、私は銀行への折衝は不要だと
思っています。
確かに、折衝が100%いらないと
までは言わないまでも、折衝で銀行の
方針が覆ることはあまりありません。
では、「融資対策」は何をすれば
よいのかというと、私は、次のような
ことをすることを薦めています。
(1)翌月10日までに当月の月次
試算表を作成し、銀行へ、持参、
または、郵送する。
(2)当月から6か月先までの資金繰
予定表を作成し、銀行へ、持参、
または、郵送する。
(3)3か年(36か月)程度の売上
計画を作り、毎月、計画と実績の差異
分析を行い、その分析結果を銀行へ、
持参、または、郵送する。
ここで、いくつかの疑問を持つ方が
いると思います。
ひとつめは、自社の状況を知らせる
だけで、銀行は融資をするのかという
ことです。
これは、「Yes」です。
意外かもしれませんが、銀行が融資を
断るときの理由として、会社の業況が
わからないということがあります。
例えば、月次試算表を作成していない
会社が、前回の決算から6か月を経過
してから融資の申し込みをしたとき、
銀行としては、ほぼ必ず、月次試算表の
提出を求めるでしょう。
銀行としては、本来は、前月、または
2か月前の状況を知りたいところなの
ですが、最低限、6か月前の状況は
知っておきたいと銀行は考えています。
ですから、月次試算表を提出するだけ
でも、銀行は融資に前向きになります。
むしろ、「翌月10日までに当月の月次
試算表を作成」することを負担と感じて
いる会社は多いのではないでしょうか?
「月次試算表を作成するだけで銀行は
融資をする」ときくと、「それは簡単
過ぎないか」と感じるかもしれま
せんが、実際には「翌月10日までに
当月の月次試算表を作成する」こと
どころか、月次試算表を作成すること
そのものも負担と感じる会社は多い
ようです。
これは、明確な因果関係は示すことが
できないのですが、月次試算表を作成
することができる会社は、事業に
ついても管理する能力があるという
ことでもあり、また、タイムリーな
会計情報を的確な事業判断に活用
しているのであろうと私は考えて
います。
ですから、「月次試算表を作成する」
ということは、「自社の管理能力を
高め、事業運営に活用する」と言い
換えることができ、だから、銀行は
融資に前向きに応じることができる
ようになると言えるでしょう。
なお、資金繰予定表、および、計画と
実績の差異分析に関する説明については
スペースの兼ね合いで割愛しますが、
「融資対策」の肝となる部分は、どの
ように銀行に折衝するのかということ
ではなく、適時な情報開示と、きちんと
自社の事業を管理していることを銀行に
示すことです。
事業の管理もせずに業績が悪化して
しまう会社に対して、銀行が融資を
躊躇するとすれば、それは当然の
結果でしょう。