私の知り合いの歯科医さんに、予防
歯科に力を入れている方がいます。
すなわち、虫歯を治療することよりも
虫歯にならないようにするよう、
一般の方たちを啓蒙しています。
そもそも、だれも虫歯にはなりたく
ないわけですから、歯科医としての
ニーズを虫歯予防に焦点をあてて
いるという点が先進的であると
思いました。
もちろん、虫歯予防にかかわる処置は
自由診療なので、全額自己負担ですが、
虫歯予防をすれば、虫歯になって痛い
思いをしなくてもすむだけでなく、
仮に虫歯になったときに、自己負担の
少ない保険診療で治療できるとしても、
虫歯にならないようにする方が、
患者の負担は少なくてすみます。
ところで、歯の治療の例を引き合いに
出すことが必ずしも適切ではない面が
あることをご了承いただきたいの
ですが、これは、融資の申し込みにも
あてはまると考えています。
融資の申し込みも、運転資金なら
1か月くらい前に、設備資金なら
2か月くらい前に申し込みをする
だけでも、銀行としては反応が
異なります。
逆に、銀行は「明後日の決済日に
手形を落とすお金が足りないから、
すぐに融資して欲しい」と取引先から
言われると、銀行としては「No」と
言えないというプレッシャーを感じて
しまいます。
中には、「あまり時間に余裕を持って
融資申込をすると、いろいろなことを
きかれるので、直前に申し込みをする」
という会社もあるでしょう。
でも、それは逆効果です。
数回はそのような方法で融資をして
もらうことができても、何度も続けて
いると、銀行から「次回からは、
少なくとも1週間前には申し込みを
しない場合は、融資はしません」と
釘をさされ、最悪の場合は、本当に
融資を受けられるなくなるでしょう。
銀行が余裕をもって融資申請をして
欲しいと考えるのは、確かに、
事務上の面もありますが、もし、
取り上げにくい要因があったときに
どうすればそれを解消できるかを
考えたり方法を探したりすることが
できるからです。
そういった意味で、余裕を持って融資
申請をすることの方が、融資の承認を
得られやすいと言えます。
ここで、次のような疑問を持つ方が
いるでしょう。
ひとつは、1か月も前に銀行に融資
申し込みをするまで、細かい条件を
提示することは難しいというものです。
これについては、融資申込の時点で
すべての要件を伝えられなければ、
銀行はまったく受付をしないという
ことはないと思います。
不確定な面があっても、凡その金額や
返済期限を伝えておくだけでも、
直前に融資の申し込みをされるよりは
銀行にとっては負担は小さいと考えて
もらえるでしょう。
ふたつめは、翌月の資金繰まで見る
ことそのものが難しいと考える方も
多いでしょう。
これについては、翌月の資金繰を
見ることが難しいということよりも、
月次決算を実施していなかったり、
月次計画を作成していないという
ことでしょう。
これらのことは、これまで何度も
述べてきていますが、事業を成行で
行うことよりも計画的に行うことの
方が、本来は、経営者の方にとって
負担が少なくなります。
これらは、実施するかどうかという
経営者の意思の有無に尽きると
私は考えています。