鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

なぜ値下げをしてしまうのか。

中小企業の経営者の方々は、どちらかと

いうと、自社製品・商品の値下げを

したがる人が多いと感じています。


その一方で、私が説明するまでもなく、

価格競争は強者の戦略です。


中小企業が必ずしも弱者とは言えせんが、

経営資源の少ない会社は、価格競争は

避けるべきです。


それにもかかわらず、価格競争を

しようとする中小企業経営者の方が

少なくない理由について考えて

見ました。


値下げをしようとする最大の理由は、

とにかく売上をえたいという気持ち

からでしょう。


当然、売上がえられなければ、事業は

続きません。


しかし、事業が続かない本当の理由は

売上が得られないからではなく、利益を

得られないことです。


一般的には、「売上を得ること=利益を

得ること」ですが、価格競争をして

いると、売上を得ることが必ずしも

利益を得ることにはなりません。


しかし、売上があるということは、

目の前にある商品が顧客に届き、そして

顧客から代金を受け取るという物理的な

動きがあると、心理的に安心してしまう

のでしょう。


仮に、その取引が不採算なら、

販売しないことの方が得策なのですが、

「引き合いがあったのに不採算だから

販売しなかった」と理屈はわかって

いても、せっかくの引き合いを逃して

しまったという不安を抱いてしまう

方が多いと私は考えています。


では、なぜ、そのような不安を抱くのか

というと、自社の事業に自信がないから

ということでしょう。


平成26年に亡くなられましたが、

介護用品を販売する会社を経営していた

春山満さんは、自社商品を決して値引き

することはしなかったそうです。


それは、自社商品は販売額以上の価値が

あると、春山さんが自信を持っていた

からでしょう。


また、稲盛和夫さんの「値決めは経営」

という言葉も有名です。


製品の価格は、経営者が自ら判断しな

ければならないほど、重要なことだと、

稲盛さんは考えていたということで

しょう。


ですから、それを安易に変えてしまう

ことは避けなければなりません。


冒頭で述べた通り、価格競争は強者の

戦略ですから、規模の小さい会社は、

価格戦略をとらなければなりません。


価格戦略をとる会社にとって、欠かせ

ない要件は、値下げに応じなくてすむ

製品の開発、または、商品の販売方法を

行うということです。


これ抜きには、事業は先細りとなること

でしょう。

 

 

 

 

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