鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

安いけれど着ていて恥ずかしくない服

[要旨]

ユニクロは、コモディティ商品を販売していますが、会社のイメージや、先進的な経営をしているという評価を得ることで、商品の競争力を高めました。このように、現在は、商品の競争力は、商品そのもの以外の要素も大切になっています。


[本文]

前回、経営コンサルタントの瀧本哲史さんのご著書、「僕は君たちに武器を配りたい」の内容から、自社の事業がコモディティ化しない6つの方法を紹介しました。今回は、コモディティ商品を販売していながら、事業を大きく成長させたユニクロファーストリテイリング)の例について述べたいと思います。瀧本さんは、ユニクロが成功した理由を、次のように指摘しています。

すなわち、消費者が服を購入するときに重視することは、「着ていても恥ずかしくないこと」と、「価格が安いこと」の2つであることを、ユニクロが発見し、それを実現したからだということです。具体的には、ユニクロの販売している商品は、中国で大量生産しているコモディティ商品でありながら、同社は、CI(コーポレートアイデンティティー)を導入して、都会的でグローバルなイメージを作り出したり、社長の柳井さんがテレビに頻繁に出演して、先進的な経営を行っているということを訴えたことから、同社商品は、価格が安いにもかかわらず、着ていても恥ずかしくない服と認識されるようになったようです。

この事例から学べることはひとつではないと思いますが、私は、ユニクロが売っているのは、商品そのものよりも、会社の仕組み(システム)だということを挙げたいと思います。すなわち、現在は、商品そのものだけでなく、会社そのものを商品と考える視点も大切になると、私は考えています。ユニクロの事例に似た例としては、私は、Apple社やスターバックスコーヒーが該当すると思っています。この2つの会社は、商品そのものよりも、会社自体が顧客から支持されているので、高い顧客ロイヤルティを維持していると考えられます。

ただ、中小企業が、ユニクロやApple社と同じ戦略を実践することは、直ちには難しいかもしれませんが、商品の競争力を高めるには、商品以外の要素も大切になってきているということです。これを言い換えれば、競争力を高めるには、どういう商品を販売するかという事業の面だけでなく、どういう仕組みで売るかという、管理面、経営面での視点も持つことが大切だということです。これをひとことでいえば、ものでの勝負ではなく、しくみでの勝負ということです。

2021/10/13 No.1764

f:id:rokkakuakio:20211010174823j:plain