これは、私自身にも言えることなの
ですが、自分が始める事業→自分が関心の
ある事業→自分以外にも多くの人が関心を
持っている事業→自分が開業すれば売上が
見込まれる事業、というように考えている
方は多いと思います。
事業を始めるにあたっては、自分が関心が
なければモティベーションにはならない
ので、関心を持つことそのものに問題は
ないのですが、その一方で、いわゆる、
「ライク・ワーク」(好きな事業)では
なく、「ライス・ワーク」(生活費を
得るための事業)として、安定的な収益が
得られるかどうかという点で、苦心して
いる人も少なくありません。
このことは、中小企業だけが直面している
課題ではないようです。
プロ野球チームの横浜も、かつて、顧客が
求めているものについて、誤って認識して
いたようです。
プロ野球チームが、球場に来る観客を
増やすにはどうすればよいかと言えば、
チームの成績がよくなることと考える
人は多いでしょう。
そして、このことは、私も決して誤って
いないと思います。
しかし、平成23年に横浜の経営権を
DeNAが取得してから、集客方法に
ついて、従来とは違ったアプローチが
行われました。
とはいえ、奇抜なことが行われたわけ
ではありません。
球団は、地元の人たちに対して調査を
行いました。
その調査結果をもとに、球団は、
本拠地の横浜スタジアムのコミュニ
ティー・ボールパーク化という構想を
打出します。
具体的には、横浜スタジアムについて
次のようなことを行いました。
(1)座席の色を、チームカラーの
横浜ブルーに塗り替える。
(2)内野席の一塁側をホーム席、
三塁側をビジター席という、これまでの
考え方ではなく、一塁側をBAY
SIDE、三塁側をSTAR SIDE
という名称に変更し、球場全体の
一体感を出した。
(3)三塁側にも横浜を応援するための
専用エリアを設けた。
これら意外にも、次のような工夫を
行っています。
(4)花火を打ち上げる。
(5)臨場感を持って観戦できるよう、
ファウルゾーンにせり出すエキサイ
ティング・シートを儲ける。
(6)内野席を改修して、ツイン
シート、トリプルシート、ボックス
シートなどを設ける。
(7)シャワールームを設ける。
このような工夫から、横浜のホーム
ゲームの観客動員数は、平成23年は
約110万人であったのに対して、
平成27年は、約181万人と、
約65%増加しました。
ちなみに、この間、チームの成績は、
5位または6位であり、観客動員数と
成績の因果関係は小さいと言えます。
なお、横浜のチームの成績が3位と
なった、平成28年の観客動員数は、
約194万人で、横浜が日本一に
なった年の約185万人を上回った
ようです。
話しを本題に戻すと、リサーチ
などを行うことで、経営者と顧客の
間の認識を埋めることができ、
それが業績の回復につながることが
あるということです。
ライク・ワークとライス・ワークは、
同一であることが望ましいわけですが、
それを実現するには、思い込みを取り
払うことが大切でしょう。