私が会社に勤務しているときは、当然、
気の合わない人が何人もいました。
中でも、最も嫌だった人は、自己中心的な
立ち居振る舞いをしている人です。
顧客の中にも、そういう人はいましたが、
会社でも自己中心的な人に合わせなければ
ならないとなると、正直なところ、
精神的につかれることがたくさん
ありました。
しかし、
私は、気の合わない人であっても、
関係を崩さないように心がけました。
というのは、会社の中での人間関係を
維持するということもありますが、
それよりも、そういった人は、自分には
できないことができるからです。
例えば、自己中心的な人は、いわゆる
親分肌で、いざという時は、前面に
立って、解決に注力してくれます。
一方、緻密なことが得意な人は、平時の
ときは、力を発揮できますが、ピンチの
ときは、冷静さを保てなくなってしまい
がちです。
私のタイプは、後者のようなタイプでした
ので、ピンチのときは、自己中心的な人に
助けを求めて、トラブルなどの解決を
お願いしました。
と、ここまで書きましたが、このような
人づきあいの仕方は、私が述べるまでも
なく、すでに多くの方がご理解し、
そして実践もしておられます。
ところが、いつものごとく、中小企業で
このようなことを、なかなか実践できない
例を、私は多く見てきています。
例えば、営業肌の方が社長を務めている
会社では、営業の能力があるかどうかが、
会社での評価の大きな比重を占めます。
このような会社では、営業成績の悪い
従業員の方の評価は、当然に低くなり
ます。
とはいえ、社長の価値観で部下を評価
することが問題とは私は思いません。
問題は、社長の価値観で評価が低い人に
対して、会社はどう対処するのかという
ことだと思います。
仮に、営業の不得手な従業員の方が会社に
勤務していて、人事考課も悪い評価ばかり
であったとします。
このとき、このような従業員の方に
対して、能力向上のための支援をする
会社もあるし、配置転換もする会社も
あります。
しかし、中には、「役に立たない従業員は
いらない」と口に出す経営者の方にお会い
したこともあります。
ただ、ここで、このようなことを口に
出したことを批判しようということでは
ありません。
問題なのは、このようなことを口に出す
経営者の方は、自分の価値観と同じ
価値観を持つ従業員の方、すなわち、
営業成績のよい従業員の方の士気にも
悪影響を与えることになるという
ことです。
詳細な説明は省きますが、社長が、
自分の価値観だけを全面に打ち出して
ばかりいると、従業員の方の価値観が
どうであれ、組織としてはまとまりが
なくなってしまうということです。
組織としてまとまりがなくなると、
せっかく会社をつくったのに、その
意味がなくなってしまいます。
最悪の場合、一匹狼の集まりになって
しまいます。
社長としては、会社の業績を高めたいと
思っており、そのためには、営業活動が
重要と考えていると思いますが、組織と
して活動するには、もっと重要な役割が
あると私は考えています。