私は経営コンサルタントとして事業の改善のお手伝いをしていますが、なかなか業績のあがらない会社さまはたくさんあります。では、なぜ業績があがらないのかというと、恐らく、多くの方は、「経営環境が厳しく、業績があがる方法がなかなか見つからないからだろう」と考えておられると思います。
しかしながら、私は、業績があがる方法は見つかっているにもかかわらず、それを実践していないことが業績が上がらない原因だと思っています。これに対し、「業績が上がる方法があるのに、実践しない人がいるわけないだろう」と考える人が多いでしょう。しかし、これは私の経験から感じていることです。とはいっても、たねあかしをすればたわいないことで、業績がなかなか上がらない会社の経営者の方は、野球に例えればホームランを打つ練習ばかりをして、うさぎ飛びや走り込みの練習を疎かにしているということです。
では、うさぎ飛びや走り込みなどの基礎練習をしていれば業績が上がるのかといえば、実はこれも直ちに業績が上がりません。しかし、基礎練習を続けていれば、徐々にですが業績は上向いていき、かつ、多少の逆境でも崩れにくい体質になります。このような会社は現実に存在し、例えば、経営環境の悪い時期は現場での仕事が少なくなるので、従業員の方へは、その分、研修を受けさせ、やがて仕事が忙しくなる時に備えているという例があります。
結論として、「景気がよくなくて業績が上がらない」と言っている経営者の多くは、めったにない、ホームランを打ちやすいボールを待っているだけだと思います。でも、業績のよい会社は、きわどいボールに対してシングルヒットを積み重ねるという戦法で、手堅く点を重ねています。業績不振に悩んでいる経営者の方は、派手なかっこいいプレーヤーから、地道な手堅いプレーヤーになろうとするだけでも、業績回復のチャンスは大きく広がると私は感じています。