経営者の方は、常に事業をどのような方向に進めるべきかを考え、頭を悩ませていることが多いと思います。そのような中、直接事業に携わっている従業員の方から、現場にいるからこそ分かるアイディアが欲しいと考えることは少なくないでしょう。
だからといって、「現場ならではのアイディアを忌憚なく出してほしい」と呼び掛けても、すぐには出てくることはない、また、出てきても、物足りなさを感じるものばかりで、期待通りにはならないという状況が実態ではないでしょうか?
そうなる原因は次のようなものが考えられます。
(1)目の前の仕事をこなすことに手いっぱいで、精神的なゆとりがない。
(2)事業は常に工夫をして改善しなければならないという経営者の意図が浸透していない。
(3)改善の要望があり、それを社長に伝えてたとしても、聞き入れてもらえそうにないと感じている。
これらを別の言い方をすると、「経営者の視点で従業員は仕事に臨んでいない」ということだと思います。
そこで、現場からのアイディアを汲み取ろうとするには、次のようなことを行う必要があるでしょう。
(1)定期的に座学の時間を設け、社長の方針を伝え、改善の工夫の大切さを理解してもらう。
(2)現場のアイディアをとりあげる仕組みを社内に設ける。具体的には、「アイディア目安箱」のような箱にアイディアを書いた紙を投函させ、定期的に件数や内容で表彰を行うということを行う。
(3)従業員の出したアイディアが事業に活かされていることを明示する。具体的には、提案されたアイディアについては経営者の評価、採用した場合はその顛末を社内掲示板に掲げるなどということを行う。
経営者の方は、「ここまでやらないとだめなのか」と感じる方もいるでしょう。もしそう考えるとすれば、それは経営者の方のひとりよがりでしょう。従業員の方にプラスアルファの行動を求めるのであれば、それなりの動機付けが必要です。