私はかつて銀行で働いていましたが、銀行の職場環境は規則のかたまりです。もちろん、たいはんは必要な規則ですが、中には不要と感じるものや、外部にアピールのために造られたような無意味さを感じる規則もありました。そんな中、私は「意味のないことはやめてほしい。もっと収益を得ることに力を注ぎたい」と感じながら働いていましたが、退職したいま、おかげで忍耐力は養えたと思っています。
ところで、何かの記事で、財界の鞍馬天狗とよばれた、旧日本興業銀行元頭取の中山素平さん(故人)のインタビュー記事を読んだことがあります。中山さんも、興銀に入社したころは「興銀おかしいところがたくさんある」と感じていたそうで、若かりしことは反発的な銀行職員だったようです。ただ、ある日、人事部長とお話しするときがあり、「銀行には、私自身もおかしいと思うことがたくさんある。でも、それは自分がそれを変えられるようになる立場になってから変えればいい」と諭されたそうです。その後、中山さんは名経営者になったわけですが、そういった上司の方の助言のおかげもあったのだと思います。
前述の2点は、サラリーマンとしての見方ですが、中小企業経営者の方にも当てはまると思います。中小企業は比較的経営資源が少なく、実行したいことが実行できなかったり、おかしいと思うことが改善されなかったりすることは多くあるでしょう。そして、それらは直ちに改善できないものの方が多いでしょう。しかし、だからといって改善をあきらめたり、邪道なことをすることは避けなければなりません。じっと満を持して機会を待つことが大切だと思います。