鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

職場で融通の利かない人

[要旨]

職場には融通が利かず、チャンスを逃してしまう人がいますが、そのような人へは、仕事をもっと俯瞰して見てもらう必要があります。一方で、規則を厳格に守らなければならないこともあり、経営者の方は、両者の区別を明確にすることが必要です。


[本文]

ダイヤモンドオンラインに、職場で融通が利かない人について、心理学博士の榎本博明さんの解説が書かれていました。職場で、問題がないようなことでも、規則を盾に取って、手順通りに進めることにこだわり、チャンスを逃してしまうような融通の利かない人は珍しくありませんが、榎本さんによれば、そのような人は、「『自分の判断力に自信が持てない』という不安を、規則をよりどころとすることで埋めている」のだそうです。

私も、榎本さんと同じように思いますが、心理学的ではなく、経営学的に言い換えれば、部分最適(自分の立場)を、全体最適(会社全体の視点)よりも優先しているということだと思います。そして、残念ながら、このような現象は、珍しくありません。例えば、コロナ対応による、中央官庁や自治体による、中小企業への支援策は、ちぐはぐしていたり、遅々としていたりしますが、これは、各部署が、手続きや管掌する権限にこだわるあまり、迅速性を求められる中小企業支援の本来の目的を、忘れてしまっているという例でしょう。

しかし、この細かいことにこだわることが必要な場合もあります。私が、かつて、勤務していた銀行では、1日の取引で、たとえ、1円でも計算が合わないときは、数万円から数十万円の残業代がかかってでも、その原因を突き止め、計算が合うまでは、その日の業務を締めることができません。

これは、不特定多数の人から金銭を預かるという銀行業務を営む銀行が、預金者などからの信頼性を維持するためには必要な対応であり、原因を特定するための費用は、それに値するものと言えます。交通機関も、悪天候や、輸送機器に不具合がある場合は運休したり、建設会社も、安全性が確保されなければ作業を休止したりするといった、厳格な規則の遵守を徹底しています。

したがって、どういう場合は融通を効かせるべきか、どういう場合は厳格に規則を守るべきか、経営者の方は、前もって明確化しておくことが必要となるでしょう。でも、現実的には、会社の規則自体が明確になっていない中小企業は少なくないと思います。役職員数が少ない間は、規則は不要と思うこともあると思いますが、経営者の方の考えを明確にするためのも、とても大切なものです。

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