特定の会社を批判する意図はないのですが、燃費データを改ざんしていた自動車会社の事例について書きたいと思います。私が再び指摘するまでもなく、これは「経営」の問題だと思います。確かに、データを改ざんしたのは試験を行った従業員ですが、最も優先することは信頼であるということが不徹底であり、それは経営者の責任です。しかも、内部から不正があるとの報告があったにも関わらず、徹底した調査が行われなかったというのは、防ぎきれなかった事故とはいいがたいでしょう。
この点は多くの方が否定しないと思うのですが、一方で、現実の社会では「悪い報告は上にあげるな」といった雰囲気のある会社が少なくありません。特に、日本の会社では、村社会的な雰囲気があり、それがよい方向に作用していればよいのですが、悪い方向に作用すると、なかなかあるべき状態にもどることは難しいようです。
このような状況を一朝一夕に解決することは難しいですが、もし、経営者が「悪い報告はあげるな」ということを口にしたら、それは経営者として失格でしょう。悪いことを増長しているということもありますが、経営者なら「悪いことほど早く知らせろ」というべきでしょう。最終的な責任者として「会社の悪いこと」を解決することが経営者の役割であり、それを放棄するというのは、単に肩書だけの「名ばかり経営者」です。