先日、43年間で閉店した千葉県の百貨店の様子をテレビニュースで見ました。お店のシャッターが下ろされるとき、多くの顧客が閉店を惜しんでいる様子が映っていました。百貨店は、市街地のシンボリックな意味合いもあり、残念がる気持ちは私も理解できますが、それでも営業を継続できるだけの顧客を獲得できなくなったことから、閉店せざるを得なくなったのでしょう。
ところで、このような様子をみると、百貨店は顧客のものだなぁとつくづく感じます。ここで「顧客のもの」と書きましたが、顧客のものとは顧客が所有するという意味になります。ただ、会社は法律的には株主が所有するので、厳密には顧客は所有するとはいえません。でも、影響力を持っているかどうかという点でみっれば、顧客の影響力が大きいということには間違いがないでしょう。
こう考えると、多くの方が閉店を惜しむのに、なぜ閉店しなければならなかったのかということを考えてしまいます。それは、私が考える前に、当事者がすでに検討し結論を出したわけですから、私のようなものが軽々に論評することは無責任なことになるでしょう。ただ、閉店を惜しむ人たちがたくさんいるのに、なぜそのようなファンを活かせなかったのかという点は気になります。
ファンの顧客を活かすという点では、銚子鉄道を思い出します。銚子鉄道は事業収入が少ないために、旅客運送事業だけでなくたい焼きやぬれせんべいを販売し、多くの鉄道ファンがそれを買い求めていることから、収支状況が改善したという例が有名です。(ただし、お菓子の販売だけでは、同社の経営が安定するまでには至っていないようです)業績の芳しくない百貨店についても、ファンの顧客の支援を受ける方策をまだ打ち出すことができたのではないかと私は推察しています。
また、このようなファンの顧客を持つというのは、これからの事業はますます大切になってくると思います。なぜなら、ものあまりの時代は、消費者はものを買うのではなく経験をかうからです。百貨店での経験とは、やはり楽しいショッピングという経験を買えるかどうかがポイントでしょう。そして、これは百貨店に限らず多くの業種にも当てはまることでしょう。
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