結論から述べると、粗利が得られても会社は必ずしも黒字にはならないのですが、私がこれまでお会いしてきた経営者の方の中で、その方が経営する会社の業績のよくない場合、その経営者の方は「粗利益が得られれば損はしない」と考えていることが多いようです。
「粗利益が得られれば損はしない」という考え方は部分的に当てはまります。それは、その会社がすでに損益分岐点売上高を超える売上を得ている時です。しかし、前述のような考え方をする経営者の方は、損益分岐点売上高に達していなくても、「粗利益が得られれば損はしない」と考えて、利益の出ない取引に応じてしまうことがあります。
このようなことをしてしまう原因はいくつか考えられます。
(1)そもそも厳密な収益管理をしていないので、利益に鋭敏でない。
(2)原価より低い価格で販売するよりはましだと考えることで、利益の得られる価格で取引に応じてもらえない言い訳にしている。
(3)将来は利益が得られる取引をしてもらえるだろうという淡い期待を持っている。
このようなことが起きない対策としては、収益管理を部門ごとに行ったり、1か月単位で会社全体の収益を確認し、経営者が収益に鋭敏になっていくことが最短の近道だと思います。その前提として、経営者は利益を得られなければ会社の事業は続けられないという意識を強く持たなければならないでしょう。