楽天市場で人気のある花屋「ゲキハナ」を
運営している、古屋悟司さんのご著書、
「『数字』が読めると本当に儲かるんです
か?」( https://amzn.to/2yOOLW3 )を拝
読しました。
ご著書の概要は、古屋さんが脱サラして激
安の花屋を開店し、売上を順調に伸ばした
にもかかわらず、資金繰がなかなかうまく
維持できない状態が続きました。
当初は、顧問税理士に対処法を相談してい
たのですが、的確なものは得られずに悩ん
でいたところ、知人からスゴ腕税理士を紹
介され、経営者のための会計、すなわち、
管理会計を学びます。
ただ、管理会計といっても、この本では、
ほぼ、損益分岐点分析だけを解説していま
す。
結果として、損益分岐点分析により、どう
すれば利益が得られ、会社にお金が残るよ
うになるかということが明確になり、そし
て、ようやく念願通り、継続して黒字を計
上できるようになったというものです。
実は、この本を読んだとき、私も、著者の
古屋さんのような悩みを持っていた経営者
の方に、これまでたくさん会ってきたこと
を思い出しました。
そのような方々は、売上を増やしてもなか
なか利益が得られず、銀行からの融資で赤
字で不足する資金を補填して、苦しみなが
ら事業を続けているという方たちです。
そして、私が会社の財務状況を分析し、改
善方法を提案するのですが、いったんはそ
れに賛同していただくものの、それをなか
なか実践できず、資金繰が苦しい状態が続
くという例が多くありました。
私は、そのような経営者の方たちに対して
「どうして助言通りのことを実践してもら
えないのだろう」と不思議に思ってきたの
ですが、古屋さんの本を読んで、実は、助
言そのものを十分に理解してもらっていな
かったということが分かりました。
すなわち、私の助言は、「赤字になるよう
な引き合いは断っていただき、利益が確保
できる条件の注文だけに応じてください」
というものです。
経営者の方もそれにはいったん納得してい
ただくのですが、その後、経営者の方が実
際に注文を受けたときに、赤字の可能性が
高くても断ることが怖くなり、その注文を
受注してしまうようです。
古屋さんも、スゴ腕税理士から、採算の悪
い商品は値上げするよう助言されますが、
やはり、売上が減ることをだいぶ怖がった
ようです。
ただ、古屋さんの違うところは、自ら損益
分岐点分析を学んだことです。
そして、商品ごとの限界利益率を計算し、
どの商品が利益をもたらし、どの商品が損
失をもたらしているかを自分で把握してい
ました。
そのことが、もうからない商品を販売する
ことは無意味どころか、自らの首を絞める
ことを十分に納得でき、売上が減ってしま
うかもしれないという怖さに耐えることが
できたそうです。
そして、たとえ値上げをしても、顧客が欲
しい商品は売れるという確信をつかみ、さ
らに、そのような顧客が離れないために、
花の育て方の説明書を添えるなどの工夫を
して、得意客を増やしていったそうです。
今回の記事の結論は、会計の知識を持つこ
とによって、値上げの怖さをやわらげるこ
とができるということです。
古屋さんは、会計がわからない状態で会社
を経営することを「目隠し運転の経営」と
表現していますが、ある意味、経営者が目
隠ししていては、きちんした経営ができな
いことは明らかです。
経営者の方は会計の専門家になる必要はあ
りませんが、目隠し運転という状態から抜
け出すだけでも、誤った判断を繰り返すこ
とは避けられます。
さらに、自らが会計の論理を理解している
ことで、適正な利益を確保するという至極
当然の手法を、専門家から提案されて受動
的に行うのではなく、自ら納得して能動的
に行うことができるようになります。
現在の日本の経営環境では、これを実践す
るだけでも、会社を黒字にすることは十分
に可能だと私は考えています。
むしろ、赤字の会社は、利益の管理が欠け
ていることが、赤字の最大の原因になって
いると思います。
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