銀行の融資審査は、定量評価(数字で表れる事がら(≒会計)の評価)と定性評価(数字で表れない事がら(≒潜在能力)の評価)で行われます。しかし、融資審査における比重は、定量評価が圧倒的に高いと私は考えています。これは人によって異なると思いますが、私は定量評価9:定性評価1と考えています。
これについては、「定量評価(会計)は過去の結果である。融資審査は将来性(潜在能力≒定性評価)を見て融資を行うべきである」という考え方があると思います。もちろん、融資審査は過去がどうであったかというよりも、将来がどうであるかを見通して融資を行わなければなりません。それでも定量評価の比重が高いというのは、数字で表されるデータは客観性が高いという理由があります。定性評価は数字に表れないので、人によって評価が変わりますが、定量評価は人によって評価はほとんどかわりません。
また、「過去の業績は悪かったけれど将来は回復する」という例は皆無ではありませんが、やはり少数でしょう。だからこそ、過去のデータではあっても、会計面での評価は比重は高くなります。さらに、「会計そのものも完全には客観的ではない。すなわち、経営者の意図によって利益が少なくなったり、利益が多くなったりする」と考えている方もいると思います。これについてもその通りですが、そこを補う情報は定性的な情報です。とはいえ、経営者の意図によって利益額が変わるといっても、おおまかな趨勢までは変わらないので、やはり会計に現れる数値は重要です。
結論として、定量評価も定性評価も大切ですが、基本は業績は数字で表されるものの比重が高いということに変わりはありません。銀行が数字で表れた結果に左右されるということも妥当であり、定量評価から得られる結果が定性評価から得られる結果によって覆るというようなことはまずないでしょう。