鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

経営者は結果で評価される

私が、かつて、知見を広めるために、組織

能力開発のセミナーを受講していました。


そのセミナーの参加者の中に、ある会社の

マネージャーのような方が参加していて、

質問時間にながながと質問をしました。


質問の内容は、自分が所属する会社の

部下はこういう状況にあり、なかなか

上司である私の思うとおりに動いて

くれない。


また、自分の上司や、さらにその上の

会社の幹部も、現場のことまでなかなか

気をまわしてもらえない。


こんななかで、自分はどうしたらよい

のか、というような内容でした。


セミナー講師の方と個別に相談するとき

ならわかるのですが、セミナーで自社の

特有な事情を長時間かけて説明しながら

質問をするこの方は、ちょっと空気が

読めない人だという感じもしました。


ただ、私が、かつて、会社に勤務して

いて、中間管理職として苦心した経験

から、その方の気持ちも理解できます。


ただ、文章からは分かりにくいかも

しれませんが、恐らく、その質問者の

方の望む回答は、「あなたは一生懸命

会社をよくしようとしていることは

わかる。


そして、あなたの部下も、あなたの

上司も、あなたに依存してばかりいる。


そのような状況では、職場は良くることは

ないですね」というものであったのでは

ないかと感じました。


すなわち、その方は、現在の職場の改善

したくてセミナーに参加したのではなく、

現在の職場がよくならないのは、自分に

責任があるのではなく、職場の部下や

上司にあるということを他人に言って

もらいたいと思って参加したのでは

ないかと思います。


仮に、このことを、ご本人に伝えたと

してとしても、ご本人はそのように

考えていることを否定するかもしれま

せんが、言葉の端々から、本音をきき

とれました。


というのも、私は、他にもそのような

方をこれまでに見てきていたからです。


簡単に述べれば、ある会社経営者の方

から、コンサルティングを依頼された

ため、その方とお話しをして、改善策を

考えました。


でも、その経営者の方は、なかなか

その改善策を実施してくれません。


その原因はひとつだけではないと思い

ますが、その最も大きなものは、

「もし、コンサルタントを使ったことに

よって、会社の業績がよくなって

しまったら、これまで会社を経営して

きた自分が、経営者としての能力が

低かったことが分かってしまう。


いま、自社がおかれている経営環境は

厳しいわけだから、むしろ、コンサル

タントに依頼しても会社の業況が改善

しないことの方が、自分の無能さが

明らかにならない」という意図が、

働いているのではないかと私は感じ

ました。


「他人の考えていることを、コンサル

タントはそこまでわかるのか」という

疑問をお持ちになる方もいると思い

ますが、その点は、私も100%、

自分の分析が正しいとは言い切ることは

できません。


ただ、言葉と行動の違いが何なのかという

ことを考えていくうちに、そのように考え

られると私は考えたものです。


いずれにしろ、動きの鈍い経営者の方は、

会社の改善も時間がかかるため、その

ような方とは、私の方から期限を切って

コンサルティングを降りるようにして

います。


今回の結論は、職場や会社を改善したい

と思うときは、自分の評価を気にしては

ならないということです。


いずれ、職場や会社がよくなれば、その

責任者としての評価は高まります。


経営者やマネージャーは、プロセスでは

なく結果に責任を負う部分が大きいわけ

ですから、結果で評価されることから

逃れることはできないでしょう。

 

 

 

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にわとりとたまご

 

1か月ほど前まで、大阪府にある国有地の

小学校のへの払い下げで、国中が騒がれて

いましたが、そのなかで、にわとりと

たまごの話に例えて、次のようなことが

話されていました。


すなわち、敷地の払い下げは、小学校の

設置の見込みがないと認めてもらえそうに

なく、逆に、小学校の設置は、敷地を払い

下げてもらえる見込みがないと、認可して

もらえそうになかったということです。


スキャンダルの件は、さておき、この

ようなことは、おかしいと思いながら、

よく出てくることです。


私が、出版を目指していたころ、多くの

出版社の方からは「著作の実績もないし、

著者自身が無名であるから」という理由で

出版を断られていました。


私としては、コンサルタントとしての

評価を高めたいという理由もあって

出版をしようとしていたわけですから、

「著者が有名でなければだめ」と言われて

しまえば、「無名な人はどうしたらいいの

だろう」とたびたび落ち込んでいました。


その一方で、私が銀行に勤務していた

とき、赤字の会社から融資の申し込みを

受けたものの、結果として取り上げられ

なかったことはしばしばありました。


そのとき、経営者の方から、「会社が

赤字だからお金が足りない。こういう

苦しいときに中小企業を助けることが、

銀行の役割ではないか」と言われた

ことがあります。


前述の、私が何社もの出版社から出版を

断られたときに、少し、そのときの

経営者の方の気持ちを理解しました。


今回の記事の結論は、竹を割ったような

内容ではないのですが、社会には理不尽な

ことを避けられないこともあるので、

それにはくじけないことが大切という

ことです。


別の言い方をすれば、何でも最初から

うまく行くとは限らないので、下積みを

きちんと積みましょうということです。


私の場合、出版を何度も断られても、

たくさんの著者の方と知り合いになる

ことで、出版の機会を得るに至りました。


赤字の会社であっても、すべて銀行融資

だけで解決しようとするのではなく、

仕入先や販売先からの支援、従業員の方

からの支援などによって、銀行からの

融資額を減らすことで、銀行の承認を

受けられるようになるかもしれません。


また、ひとつの銀行だけであきらめずに

いくつもの銀行をあたったり、知人から

銀行を紹介してもらったりすることで、

融資に応じてもらえる銀行が現れる

かもしれません。


何かを達成しようとするときは、まったく

試練がないということはないということ

だと思います。

 

 

 

 

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プロフェッショナルの矜持

先日、親類のご主人に不幸があり、都内で

葬儀に参列してきました。


その葬儀を手配した葬儀社は、テレビ

番組に何度か取材を受けている会社だった

のですが、意外に、喪主のご夫人は不満を

持っていたようでした。


その不満というのは、葬儀の運営にひとつ

ひとつ細かく質問をしてくるというもの

です。


10を知るために10を聞いてくるような

感じなのでしょう。


これは、葬儀の進行に間違いがないように

しようという、葬儀社の判断によるものと

思われます。


私も4年前に父親の葬儀を行いましたが、

私の住んでいる栃木県の葬儀社では、

あまり細かいことは喪主の方に聞くような

ことはしていないようです。


むしろ、「ここでは、このようにしては

どうしょうか」などと提案をするなど、

喪主からの信頼を得ることで、細かい

ことまでは喪主にきかなくても、うまく

葬儀を進行することで、喪主の満足を

得ている感じでした。


ここまでの内容では、東京の葬儀社

さんは、10を言わないと10が分から

ない、稚拙な葬儀会社という批判に

思われるかもしれませんが、私が伝え

たいことは、少し異なります。


これは、武田邦彦さんがテレビ番組で

お話しされていましたが、かつて、

日本では、家を建てようとする人が

大工さんに家を建てて欲しいと依頼

すると、希望する間取りなどは一切

聞かずに、どのような家にするかは

一任されて家を建てていたそうです。


それは、この家族にはこのような家が

望ましいということを考えることも、

大工さんの役割だったそうです。


いまからすると、ちょっと考え難い

ことですが、それだけ職人としての

大工さんの信頼が高かったという

ことでしょう。


そういえば、私の頭髪も、知人の

美容師にどうするかは一任して

散髪してもらっており、家一軒とは

簡単には比べられませんが、恐らく

そんな感じだったのではないかと

思います。


要は、餅屋は餅屋、専門家はそれなりの

矜持(きょうじ、プライド)を持って

いれは、細かいことは聞かなくても

顧客を満足させることはできるのでは

ないかと思いました。


前述の、東京の葬儀社さんは、恐らく

よりよい仕事をしようとして、少し、

その方向性を間違ったのではないかと

思います。


葬儀というのは、遺族にとって心が

落ち着かないイベントです。


そのようなときに、よい仕事をする

ために、10を聞くということは、

私としては避けるべきだと考えます。


むしろ、プロフェッショナルとしての

プライドがあれば、顧客の気持ちを

察して、質問を最小限にとどめる

ことの方が、顧客の満足は高くなった

のではないかと私は感じました。

 

 

 

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他人事ではPDCAは失敗する

先日、ある経営者の方から、PDCAが

うまく行かない理由について問われ

ました。


これに対し、私は、私の経験から、次の

ように答えました。


すなわち、PDCAがうまく行かない

会社は、経営者の方がPDCAに飽きて

しまうからというものです。


なぜ飽きるのかというと、多くの

経営者の方は、PDCAを実施したら、

すぐに効果が現れることを期待している

からです。


効果がなかなか出ないと、経営者の方の

関心は低くなり、しまいには、PDCA

による改善活動が尻切れトンボの状態に

なってしまいます。


もうひとつ、PDCAがうまく行かない

理由の大きなものに、経営者の方の関与が

少ないということが挙げられます。


これを具体的に書けば、PDCAを実施

しても、経営者の方は、月次の確認会議に

出席して、部下の方からの報告を受け、

「そうか」とだけしか返事をしないという

状況です。


これは、経営者の方が「PDCAを実施

するということを自分が決めたのだから、

それを実践して効果を出すのは部下たちの

役割だ」と考えている場合でしょう。


当然、経営者がこのような考え方であると

PDCAによる改善活動は、画餅になって

しまいます。


なぜなら、会社の改善には、経営者自身

にも改善してもらわなければならない

部分があるので、従業員だけが変わったと

しても、効果には限界があります。


それに、従業員の方は、経営者自身は

変わるつもりがないということを察して

しまうと、自分たちの変わろうとする

士気も低くなってしまいます。


ここまで書けば、PDCAは経営者

ばかりに負担が大きいことになると感じる

でしょう。


それは事実ですが、改善活動とは、組織

運営の一部ですから、組織運営が主たる

役割である経営者の方にその大きな部分を

担うことは当然といえるでしょう。


経営者の役割は、従業員の方に働きやすい

環境を提供することですから、そのために

PDCAを実施しても、経営者の方の

関与が少なければ、その効果も少なく

なることは当然でしょう。


そして、最後にもうひとつ、PDCAが

うまく行かない、より具体的な理由を

挙げると、月次確認会議しか開かないと

いうことです。


PDCAは、月次確認会議のときしか

議論されないのであれば、それは、

PDCAを行うことが目的となって

いる状態です。


月次確認会議では、先月の状況の確認、

目標と実績の乖離の要因の分析、その

乖離の要因を埋めるための対策などを

決めますが、PDCAがうまく行かない

会社では、会議が終わった途端に、

会議で決まった時効が参加者の頭の

中から消えてしまいます。


PDCAは、月次確認会議が改善活動の

スタートの日で、次の会議まで決め

られたことが実施されなければなり

ません。


従業員の方たちに、そのような行動を

してもらえるようになるためには、

経営者の方のリーダーシップ、

PDCAへの関心の高さ、会議の時

以外でもPDCAの状況について

適宜話し合うといった対応が求め

られます。


今回の記事の結論を一言で書くと、

PDCAを成功させるには、経営者の

方が、PDCAを他人事にしないと

いうことだと私は考えています。

 

 

 

 

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経理規定は信頼性を高める

「労なくして銀行から融資を受けたい」と

考えている経営者の方は多いようですが、

その一方で、そのための対策をとる会社は

意外と少ないと考えています。


私は、会社が信頼を得るためには、

きちんとした決算書を作成することだと

考えています。


決算書がきちんとしているかどうかは、

それを見ればすぐにわかります。


「役員貸付金」という勘定科目がある、

いつになっても販売されない棚卸資産

ある、いつになっても回収されない

売掛金がある、減価償却を行うときと

行わないときがある、などです。


ここで、「会社を、決算書だけで評価

することは、偏った評価方法ではないか。

財務面以外でも評価できるだろう」という

疑問を持つ方もいるかもしれません。


しかし、「きちんとした決算書」という

のは、単に立派な決算書ということだけ

ではなく、「きちんと事業が行われている

から、立派に作られている決算書」という

意味です。


その例として、前述の「役員貸付金」

とは、文字通りの役員に貸し付けたお金

ではなく、実態は使途不明か、または、

会社の経費としては認めることができない

支出のことであり、それを社長への貸付

という名目で計上しているものです。


こういった科目があると、会社のお金の

管理はきちんとしていないということが

銀行に伝わってしまいます。


ですから、このような不適切な取り扱いを

防ぐには、「中小企業の会計に関する

指針」や「中小企業の会計に関する基本

要領」に基づいて、経理規定を作成し、

それを守ることです。


(ご参考→ https://goo.gl/R6iQdU


そのような会社は、前述のような不適切な

会計は行われなくなります。


特に、多くの金融機関では、前述の会計

指針に基づいて会計処理を行っている会社

向けに、無担保融資を行う制度を用意して

いるなど、金融機関も会計指針を採用して

いる会社を高く評価していることがわかり

ます。


しかし、会計指針に基づいて会計処理を

行っている会社は、まだまだ少ないよう

です。


中小企業にとっては、会計指針を守る

ことも、負担となっているようです。


これについては多くの議論があると思い

ますが、私はそれは経営者の甘えだと

思っています。


甘えというのは、会社という器を作って

おきながら、それを公器と考えずに、

私物化しているということです。


会社を私物化している経営者は、「この

会社は自分が設立して育ててきた会社

だから、自分の好きなようにしたい」と

考えています。


そのことが直ちに悪いとは言えませんが、

そのような考え方をしている経営者の

経営する会社は、自ずと事業の成長に

限界があるでしょう。


一方で、会社は社会に助けられながら

成長していると考えている経営者は、

きちんとした会計処理を行い、さらに

社会から信頼を得ようとするでしょう。


何千社、何万社の決算書を見ている金融

機関は、決算書がきちんとしているか

どうかということから、経営者の姿勢も

見ていると私は考えています。

 

 

 

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営業マンは道具ではない

 

私は「売上を得られる営業マンがほしい」

という考え方を経営者の方は持つべきでは

ないと考えています。


なぜなら、そもそも自力で売上を得られる

営業マンは、サラリーマンにはなる必要が

ないからです。


経営者としては、能力の高い営業マンを

雇いたいという要望を持つことは理解

できますが、そのためには、そのような

能力を持つ人材から、自社に勤めたいと

思ってもらえるようにならなければなり

ません。


その要因としては、給与などの処遇が

高い、さらに自分の能力を高めてもらえる

ことが期待できる、売れる商品を販売して

いるというものがあります。


このように書くと、「それができれば

苦労はしない」と言われそうですが、

そこが経営者としての腕だと思います。


ところで、これに関して、経営コンサル

タントの木戸一敏さんが、ご自身の制作

しているポッドキャストで、次のように

お話しされておられました。


(ご参考→ https://goo.gl/VZx4Cn


すなわち、「かつて、自分がリフォーム

会社を経営しているとき、売上を得られる

営業マンなら誰でもいいから雇いたいと

考えていた。


しかし、それは営業マンを人として見て

いないということだ。


そのような関係であれば、会社のことを

考えて働いてもらうことは難しい」という

ことを、自戒の念をこめてお話しされて

いました。


これは、「売上を得られれば誰でもいい」

という基準で営業マンを雇ってしまうと

一匹狼の集団になってしまい、会社と

しての体をなしていないということを

示唆なさっているのだと思います。


このことに気づいた木戸さんは、その後

ご自身の気の合う営業マンだけを雇い、

そして、会社への不満を聞き出して改善

するなど、人間関係を良好にしていった

ということです。


これは、よく言われていることですが、

組織だった行動により、営業マンの出す

結果を、1+1=3にすることだと

思います。


例えば、1か月に100万円の売上を

得られる営業マンを3人雇えば、会社

としては、1か月に300万円の売上を

得られることになりますが、組織として

行動することで、500万円にも600

万円にもするということだと思います。


よく、経営者の方が、従業員の考え方が

ばらばらで、組織だった行動がなかなか

出来ないでいると悩んでいるところを

目にします。


どうすれば、そのような状況が解決するか

ということは、別の機会に述べたいと思い

ますが、会社の売上を増やすには優秀な

営業マンをそろえればよいと単純に考えて

いる方は少なくないと思っています。


会社、すなわち、組織を運営することは

経営者の役割ではあるものの、その重要な

役割には目を向けず、単なる道具としての

営業マンを揃えることだけを考えて

いると、結果として、事業は行き詰って

しまうと、私は考えています。

 

 

 

 

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イライラには才能が隠れている

私が銀行で渉外係をしていたときのこと

ですが、お取引先のある建設会社を訪れて

いたとき、普段は穏やかな社長が、急に

怒り出しました。


社長が怒ったのは、社屋の社長の席から

見える会社の敷地に、ちょうど資材を

運んできたダンプカーに対してでした。


実は、私は何がまずいのかまったくわから

無かったのですが、資材の積み方にまずい

ところがあったようです。


このとき、素人にはまったくわからない

ところまで、建設業の方は荷物の積み方に

まできちんと気をつかっているのだなあと

感じました。


そういえば、私も、かみさんと買い物を

するとき、「あの店員さんは残念だな」

とか、「この売り場の陳列はちょっと

おかしいな」とつぶやくことがあります。


コンサルタントのはしくれとして、

お店の改善の余地があるところが目に

ついてしまうと、ついつい、それを口に

出してしまうのですが、かみさんは、

それを私が不満を口にしていると感じて

しまうようで、私にたしなむようにと

苦情を言われてしまいます。


こんなとき、私は作家の本田健さんが

お話しされていた「イラっとすることは

自分の才能が隠れている分野」とお話し

されていたことを思い出します。


こう考えれば、建設会社の社長が現場の

ことにイライラしているとすれば、その

社長は建設業が才能を発揮できる分野

であり、お店の売り方を見てイライラして

いる人は小売業に才能を発揮できるという

ことになると思います。

 

これから起業しようと考えている方や、

新しい分野に事業を展開しようと考えて

いる方は、自分がイラっとする分野を

選択すると、成功する確率が高いかも

しれません。

 

 

 

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