[要旨]
経営コンサルタントの岩田松雄さんによれば、リーダーは、未来への方向性を示し、人々に共感を持って、革新的なアイディアを提供し、人を感動させ、変化を促すことに重点を置く一方、マネージャーは、目標達成に向けて適切な戦略を策定し、リソースを最適化し、現状において効率的に問題を解決することに重点を置くということです。
[本文]
今回も、前回に引き続き、経営コンサルタントの岩田松雄さんのご著書、「共感型リーダー-まわりが自然と動く、何歳からでも身につく思考法」を読んで、私が気づいたことについて説明したいと思います。前回は、ドラッカーは、リーダーシップを「方向性を決め、目標を設定し、資源を配分し、人々を行動に移すこと」と定義し、また、リーダーシップは学ぶことができると主張もしており、「自己開示」、「自己省察」、「他者への関心」といった自己啓発的な活動を通じて、リーダーシップ能力を向上することができるとしているということについて説明しました。
これに続いて、岩田さんは、マネージャーとリーダーの違いについて述べておられます。「次に、『マネージャー』と『リーダー』の違いを考えてみましょう。皆さんは『リーダー』と『マネージャー』という言葉を意識しして使い分けていますか?マネージャーとリーダーの違いは、言葉通り、マネージすることとリードすることです。つまり、マネージする:何かを引き起こし、成し遂げ、義務や責任を引き受け、実行すること。リードする:人を感化し、方向や進路、行動、意見などを導くこと。
リーダーシップは、『変革や創造性を促進』することであり、マネジメントは、『安定性と予測可能性を提供』することです。リーダーシップは、チャレンジングな状況に対処する能力を持つことを要求する一方、マネジメントは、定められた目標や目的を達成することを要求します。(中略)リーダーは、未来への方向性を示し、人々に共感を持って、革新的なアイディアを提供し、人を感動させ、変化を促すことに重点を置きます。
一方、マネージャーは、目標達成に向けて適切な戦略を策定し、リソースを最適化し、現状において効率的に問題を解決することに重点を置きます。リーダーの役割は、部下が目標を達成するのを助けることです。部下たちがビジョンを実現できるよう、真摯に対応し、その障害を除去することによって、彼らの成功を助けることが、リーダーの仕事です。リーダーはチアリーダーであり、支援者であり、応援団長なのです」(55ページ)
私は、岩田さんの考えと少し違う考え方をしており、マネジメントの中にリーダーの役割が含まれていると考えています。でも、あえて、マネージャーの役割とリーダーの役割を分けて考えるとすれば、岩田さんと同じように考えます。ただ、経営者は、組織の目標を達成する責任があり、そのためにマネジメントの能力やリーダーの能力の双方が必要になるので、これらを分ける必要性はあまり大きくないと、私は考えています。
しかし、最近は、VUCAの時代と言われており、経営環境が複雑化する中で、それに対処できるようにするには、従業員の方たちが、リーダーに鼓舞されて、より高度な仕事に果敢に対処できるようになることが望ましいと言えます。そのような観点からは、経営者に求められる役割には、リーダーとしての役割の比重が大きくなっているということに間違いはないと思います。
2024/4/7 No.2671