鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

ポジショニングはファースト

[要旨]

コンビニエンスストアのセブン-イレブンは、競合店がいる地域に出店するときは、ドミナント出店を行い、その地域でのファーストであると顧客に認識してもらうことで競争力を高めています。これは、1番であることは、2番以下よりも知名度が極めて高くなるという効果を狙ったものです。


[本文]

今回も、大阪ガスエネルギー・文化研究所の主席研究員の鈴木隆さんのご著書、「御社の商品が売れない本当の理由-『実践マーケティング』による解決」を読んで、私が気づいたことについてご紹介したいと思います。前回は、的顧客の絞り込みは、最初から正しいものを設定することは難しいので、実際に事業活動を行う中で、気づきを得ながら、正しいものを見つけていくことが妥当であるということについて説明しました。

これに続き、鈴木さんは、自社商品が1番であると顧客に認識されるポジショニングを設定することが重要であるということをご説明しておられます。「セブン-イレブンは、コンビニエンスストアでは、全国のトップですが、すべての地域でトップというわけではありません。そこで、ファミリーマートやローソンなどの競合他社がすでに出店している地域に、新たに進出する際には、ドミナント(商密度多店舗)出店方式を徹底しています。

特定の地域内で、他社に比べてより多くの店舗を集中的に出店することで、商品配送の効率を高めるとともに、その地域で『コンビニならセブン-イレブン』と、ファーストの認識を定着させながら、出店地域を拡大していくのです。北海道では、セイコーマートが1,000軒を超える出店で、道内人口のほぼ100%をカバーしてトップを維持しています。セイコーマートは、道内でドミナント出店を先に実践し、道民から、『コンビニならセイコーマート』と、ファーストとして認識されています。こうして、後から乗り込んできたセブン-イレブンに対抗しています」(99ページ)

鈴木さんは、セブン-イレブンやセイコーマートの事例を出して、顧客に「ファースト」と認識してもらうことが大切だということをご説明しておられます。これは、世界一高い山はエベレスト(8,848m)ということは多くの人が知っていることと比較して、2番目に高い山はK2(8,611m)であることを知っている人は少なく、両者の実際の高さの差よりも、知名度には大きな開きがあることと同じということです。

ちなみに、北海道帯広市に、カレーショップインデアンというカレー店があるそうですが、ココ壱番屋が出店してもすぐに閉店に追い込まれるくらいの人気なのだそうです。この事例も、セイコーマートと同じドミナント戦略が奏功していることによるものと言えるでしょう。したがって、地方にある経営資源の小さな会社は、ドミナント戦略により、地域ナンバーワンを目指すことで、経営資源の大きな会社に勝つことも可能になるのです。

2023/3/4 No.2271