鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

顧客コミュニティでニーズを深める

[要旨]

ハーレーダビッドソンでは、ユーザー同士が交流するグループを提供していますが、このコミュティにより、メンバーは、さらにハーレーのヘビーユーザーになり、同社の収益を高めることにつながります。ただし、コミュニティを提供する場合、その運営のための労力やスキルが必要になるので、注意が必要です。


[本文]

今回も、前回に引き続き、中小企業診断士の佐藤義典先生のご著書、「図解実戦マーケティング戦略」を読んで、私が気づいたことについてご紹介したいと思います。前回は、商品のニーズを深める手法として、顧客教育によるニーズの深め方について説明しましたが、佐藤先生は、これに続いて、コミュニティの活用についてご説明しておられます。

「ニーズを深めるもうひとつの手法が、コミュニティつくりです。すなわち、ユーザー同士を交流する場をつくるわけです。私は、年に1回、海外スキーツアーに参加しています。そこでは、ツアー参加者同士や、ガイドスタッフが、共通の趣味を通じて仲良くなり、ツアーから帰ってきても交流が続きます。スキーを通じて仲良くなった人同士の共通の話題は、もちろん、スキー。そして、どんどんスキーにはまっていき、また、海外ツアーに参加するわけです。

このしくみを組織化したのが、ハーレー・オーナーズ・グループです。あの大型バイク、ハーレーダビッドソンのユーザーだけが入会できる、ハーレー米国本社公認のユーザーグループです。世界100か国で活動し、日本のメンバーも、29,000人以上が会員となっているそうです。このメンバーで、ハーレーに乗ってツーリングに行き、キャンプなどをすることで、ますます、ハーレーを通した絆が強くなっていくのです」(166ページ)

顧客コミュニティを作る事例は、ハーレー・オーナーズ・クラブがあまりにも有名なので、詳しい説明は不要でしょう。他の事例としては、コメダ珈琲や、カゴメでも、ファンの交流サイトがあります。また、情報技術を使わなくても、新橋にある居酒屋の有薫酒蔵では、日本全国の高校ごとのノートを備えておき、それぞれのノートに卒業生が書き込みをできるようにして、卒業生同士が交流できるようにしています。

このノートがあることにより、同店の利用頻度が向上していることは、想像に難くありません。ちなみに、このノートは、現在は、3,000冊を超えているそうです。当然ですが、顧客同士のコミュニティは、金銭的なつながりではなく、人的つながりなので、それを提供すれば、ニーズの深さはさらに深くなります。ただ、商品を販売する側は、コミュニティを円滑に運営するという新たな労力やスキルが必要になるので、注意が必要です。

2023/2/8 No.2247