鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

ゲマインシャフトとゲゼルシャフト

[要旨]

ゲマインシャフトは、地縁や血縁から発生した組織ですが、組織の目的が明確になっていないため、そのような組織に属していると、組織の構成員も、あまり成果を得ることができません。そこで、会社などの、組織の目的が明確になっているゲゼルシャフトに属することで、より、多くの成果を得ることができるようになります。


[本文]

今回も、前回に引き続き、瀧本さんのご著書、「君に友だちをいらない」を読んで、私が気づいた点についてご紹介したいと思います。瀧本さんは、本の中で、ゲマインシャフトゲゼルシャフトの大切さについて説明しておられます。「ゲマインシャフトというのは、地縁や血縁など、人間が生活していくなかで、自然発生的に生まれてくる社会集団のことを指す。地縁にしろ、血縁にしろ、この関係は、自分が生まれた時点で、ほとんどが決まっている。

そのため、事後的に、自らの意志で、それらを変更することも、逃れることも、基本的には難しい。その縁を増やしていくことも、完全に消すことも困難である。地縁からは、その生まれた地から離れて暮らすことで、血縁からは、離婚や縁を切ることで、逃げることはできるかもしれないが、そのためには、生活面や経済面で、大きな犠牲を払わなければならないことが普通だ。身分制度と村落共同体によって、職業や婚姻、移動の自由がなかった江戸時代までの日本は、典型的なゲマインシャフト的社会である。

ゲマインシャフトに対して、ゲゼルシャフトというのは、『ある目的を持った人が、その目的を達成するするために集まった社会集団』のことをいう。何かの目的があって作られるものだがら、いくつもの集団に同時に所属することもできるし、その目的が必要なくなったり、組織がダメになったら、いつでも解散したり、脱出したりすることができる。私は、これからの日本において、快適に働き、生活していくには、ゲマインシャフト的な社会集団にこだわるのではなく、ゲゼルシャフト的な集団をいくつも作り、複数のそれに所属していくことが必要であると考えている」(300ページ)

瀧本さんは、複数のゲゼルシャフトに所属することをお薦めしておられますが、その理由のひとつは、ゲゼルシャフトは、集団の目的が明確になっていることです。ゲマインシャフトの場合、組織の目的が明確でなく、むしろ、組織の存続そのものが目的になってしまうため、組織活動の成果はあまり高くありません。中には、ゲゼルシャフトである会社が、組織の存続そのものが目的化しているような場合もあります。それくらい、組織の目的は、組織の成果を向上させるために重要ということです。

したがって、いま、所属している組織の目的が明確になっていない場合は、それを明確化させたり、または、その組織を抜け出して、別の組織に加わったりすることが望まれます。もうひうとつの理由は、ひとつの組織にしか属していないと、活動が硬直的になるからです。別の組織で得られた経験やアイディアは、別の組織のとって、効果の高いものとなるからです。

2022/7/17 No.2041