鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

エゴチスム

[要旨]

ITT元社長の、ハロルド・ジェニーン氏は、経営者がエトチスト(強い自己愛による自己中心的な人)になることによって、会社や社会に大きな経済的損失をもたらすと指摘しています。しかし、現時点では、抜本的な解決策はないので、経営者は、自らを律することが望まれます。


[本文]

前回ご紹介した、ハロルド・ジェニーンの著書、「プロフェッショナルマネジャー」の中で、もうひとつ気になることが書かれていたので、今回は、それについて述べたいと思います。ジェニーン氏は、「エゴチスム」について1つの章を使って書いています。

アメリカ企業がアルコール依存症のために負担させられているコストは、エグゼクティブのエゴチスム(強い自己愛を含んだ自己中心的な態度)という現象のために支払わされている代価の大きさとは比べものになるまい。放任されたエゴチスムは、周囲の現実をその本人に見えなくさせる。彼は次第に自分自身の幻想の世界に生きるようになり、しかも自分は絶対に誤りを犯さないと本気で信じているために、下で働く人びとを困らせる」

優秀な従業員が能力を認められ、それに応じた地位につき、強力な権限を持ったとたん、「エゴチスト」になってしまうという例は、日本でも珍しくないのではないかと思います。しかし、そのような人を変えることはとても難しいようです。ジェニーン氏も、エゴチストにならないようにするには自分次第としか述べていません。そのため、アルコール依存症と同様に、エゴチスムを病気とみなすべきだが、当面、そうはならないだろうと述べています。

私も、「エゴチスム」はなくなって欲しいし、「エゴチスト」が現れたら「治療」できるようになって欲しいと望んでいるのですが、いますぐには難しいようですね。でも、ジェニーン氏が、「エゴチスト」は病気とみなすべきと指摘したことが、今後、多くの人がエゴチストに関して考えるきっかけになり、改善につながって行って欲しいと思います。そして、少なくとも、自分はエゴチストにならないよう気を受けたいと思います。無自覚のうちにそうなっているかもしれないので…

2021/11/18 No.1800

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