鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

なぜ銀行はアパートに融資をするのか?

先日、経済評論家の上念司さんが、銀行を

批判する記事を、ダイヤモンドに載せてい

ました。


(ご参考→ https://bit.ly/2PqKJtx


記事の概要は、「銀行は、アパート建設資

金など、不動産向け融資を増やしてきた。


しかし、賃貸不動産の需要は先細りするこ

とは明らかであるが、アパートのオーナー

にはそのようなことは告げずに、自らの利

益を優先して融資を増やしてきた。


これは、銀行が、事業の将来性ではなく、

担保の有無で融資を判断しているという、

好ましくない融資姿勢の表れだ」というも

のです。


私も、上念さんの考え方の90%に賛成し

つつ、銀行がどうして上念さんに批判され

るようなことをしてしまうのかという理由

について、私が考えているところを述べた

いと思います。


ひとつめは、上念さんのような事業家から

見れば、事業家は自らリスクをとって事業

の拡大に努力しているのだから、銀行もリ

スクをとって事業に臨むべきだと考えるこ

とは理解できるのですが、その一方で、銀

行は、預金者からみれば、自らが銀行に預

けた預金を安全に運用して欲しいという要

望を受けている立場でもあります。


私は、この考え方には賛同していないので

すが、かつて、年金積立金管理運用独立行

政法人(GPIF)が、日本株への投資を

増やしたことに対し、「大切な年金を株式

で運用することは危険だ」という批判が起

きたことがありました。


これと同様に、もし、銀行が、預金を原資

にしているにもかかわらず、安心して融資

ができる相手に融資していないというよう

に預金者に受け止められてしまうと、預金

を預けてもらえなくなってしまうという懸

念を銀行は持っています。


繰り返しになりますが、決して、「預金者

に安心してもらうために、銀行は、アパー

ト向けローンに融資をしている」という反

論はできませんが、銀行の融資の原資が預

金であるということが、銀行が担保に依存

的な融資を行おうとする理由の一部を占め

ていることも事実だと思います。


ふたつめは、銀行は自己資本比率規制の制

約を受けていることです。


銀行は、一定の自己資本比率を維持するこ

とを求められていますが、銀行の自己資本

比率の計算方法は独特で、どの相手に融資

をしているかによって、資産として算入す

る金額が少なくなったり多くなったりしま

す。


例えば、融資ではありませんが、銀行が保

有している国債は、資産の額に算入しなく

てもよいことになっています。


これは、国債は必ず回収できる資産だから

であり、このとき、国債のリスクウェイト

は0%といいます。


また、一般の会社に対する融資であって

も、上場会社など、信用度の高い会社への

融資のリスクウェイトは20%という場合

もあります。


しかし、一般的な中小企業への融資は、融

資額の100%をそのまま算入して計算し

ます。


このように、銀行の自己資本比率を計算す

るときの資産額は、実際の資産額ではな

く、信用度合いによって少なくなったり多

くなったりします。


したがって、銀行は自己資本比率を維持し

なければならないという都合から、なるべ

くリスクウェイトの低い融資を増やしたい

と考えています。


自己資本比率は、自己資本の金額を資産の

金額で除して計算するので、リスクウェイ

トの低い融資が多いと、計算上の資産の金

額が少なくなるので、自己資本比率は高く

なります。


そこで、リスクウェイトの比較的低い住宅

ローンやアパート向けローンは、銀行に

とっては融資を増やしても、自己資本比率

が下がりにくい融資であり、そのような融

資を銀行は増やしたいと考えるわけです。


みっつめは、アパート向けローンは、比較

的利鞘を得やすい融資という側面がありま

す。


以上の3点が、銀行がアパート向けローン

などを増やそうとしている理由です。


しかし、上念さんが指摘している通り、ア

パートの需要は先細りすることは確実なの

で、現時点でアパート向けローンを増やす

ことはあまり得策ではありませんが、それ

でも、銀行にとっては利点が多いため、な

かなかアパート向けローンへの依存から抜

け出すことができないのでしょう。


現状の改善は、当然のことながら、銀行が

主体的に実践すべきことなのですが、融資

の利鞘が得にくいという状況の改善は、銀

行単独では解決が難しい面もあります。


私は、銀行に、さらに手数料を徴収できる

ようになるための法整備や、融資の原資の

調達方法に、預金以外の方法に道を開くな

どの対応も必要と思っています。




※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/





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●11月19日ランチ会兼勉強会のお知らせ


11月19日(火)12時00分から、東

京都千代田区秋葉原駅の近くのレストラ

ンで、少人数に限定して、昼食をとりなが

らの融資に関する勉強会を開きたいと思い

ます。

 


■日時:令和元年11月19日(火)

12時00分~14時00分


■会場:和食ダイニングまぐろ問屋十代目

彌左エ門 アトレ秋葉原2店

東京都千代田区神田花岡町1-9

アトレ秋葉原2 4階


JR秋葉原駅昭和通り口を出て、すぐ左側

にあるエレベーターで4階に上がってくだ

さい。


東京メトロ日比谷線をご利用の場合、秋葉

原駅3番出口を出ると、正面にエレベータ

ーが見えます。


地図→ https://bit.ly/2lV8tZO

 

■参加費:1,000円(消費税込み)

当日、会場でお申し受けします。


別途、お食事をご注文し、各自、ご精算く

ださい。


■その他:食事をオーダーするという条件

を満たしていただければ、遅れての参加、

中途での退室は可能です。当日は、ご参加

いただいた方からの質問もお受けします。


■参加申し込み方法:フェイスブックイベ

ントページで、「参加」ボタンを押してく

ださい。→

https://www.facebook.com/events/410138059668211/