[要旨]
ブレインストーミングは、創造的なアイディアを出す手法と考えられていますが、実は、他の手法よりも劣ります。しかし、知識やノウハウが共有され、個人プレイではなくチームで課題解決に取り組む組織風土が作り出されるという効果があります。
[本文]
九州大学ビジネススクールの松永正樹准教授が、ブレインストーミングについて、Podcast番組でお話しておられました。松永准教授によると、「創造的なアイディアを出す手法と考えられているブレインストーミングは、実は、与えられた課題に対して、より優れた解決策を見出すという点においては、実はマイナスの効果をもたらすことが知られている」そうです。
というのは、「例えば、プロジェクトの責任者が、信頼出来る相談相手と熟慮を重ねながら解決策を練り上げて吟味するといったものと比べると、質が落ちる」そうです。では、ブレインストーミングは役に立たないのかというと、そうではないようです。
「ブレインストーミングをすることによって、各メンバーが持っている知識やノウハウが共有され、個人プレイではなくチームで課題解決に取り組む組織風土が作り出される。そして、この知識の共有やチームプレイの文化から素晴らしいソリューションが生まれてくるという、二段構えのプロセスがある」と、松永准教授は指摘しています。すなわち、ブレインストーミングは、組織内での知識の共有と、チームプレイの体験による組織能力の向上という成果があるということです。
そして、同様のことは、5S活動や、QCサークルにも当てはまると、私は考えています。両者とも、整理整頓や、改善活動そのものよりも、組織的な活動で成果を得るという経験を通して、組織としての能力を高めたリ、構成員の満足度を向上させたりする効果が大きいと言えます。組織の能力を高めるための方法は、何か、特別で高度な方法が、必ずしも必要になるということではありません。
2021/10/15 No.1766