[要旨]
銀行から融資を受けるために苦心している会社は少なくないようですが、銀行は、融資相手の会社に、難しいことを望んでいるわけではなく、「公私混同をしない」、「必要な資料をすぐに用意する」、「経営者が決算書の内容を把握して、事業改善に活用する」といった、基本的なことしか望んでいません。
[本文]
地方銀行出身で、中小企業診断士の川北英貴先生の新刊、「銀行からの融資完全マニュアル」を拝読しました。同書は、銀行職員の観点で、融資審査をどのように行っているのかが、詳しく説明されていますので、銀行との関係を良好にしたいと考えておられる経営者の方にはお薦めしたい書籍です。とくに、「あとがき」には、とても共感できるる内容が書かれていたので、引用いたします。
「銀行が融資をしてくれないのは、あなたの会社にお金を貸しても返ってくるとは思えないからです。(中略)そこを考えられたら、取り組むべきことが分かり、銀行からお金は借りやすくなります。しかし、多くの経営者は、銀行からお金を借りるためにやるべきことをやっていません。『平気で赤字を出す』『簡単に経営者個人に会社からお金を流出させる』『資料もろくに銀行に提出できない』『決算書が読めない』そんな経営者に対し、銀行は怖くてお金をかせません。
『事業で黒字を出す』『会社と個人のお金はしっかり分ける』『融資してもらうために、資料はきちんと準備する』『決算書や試算表を見て経営に活かす』これらは、経営者として当たり前に行うべきことです。それができないから、銀行は怖くて、あなたの会社に融資できないのです」この川北先生のご指摘を、直ちに納得できない経営者の方もいるかもしれません。ただ、銀行は、融資相手の会社に、ウルトラC的な、難易度の高いことを求めているわけではないということはご理解いただけるでしょう。
いまは、コロナ禍の中にあるので、会社を黒字化することは難しい場合も多いと思いますが、公私混同をしない、銀行から依頼された資料を用意するということは、どんな会社でもできることだと思います。できれば、財務指標を1か月ごとに確認して、事業改善に活かして行っていただきたいと思います。これらのことを行っても、直ちに、財務上の数値には反映されないかもしれませんが、少なくとも、銀行の会社を見る目は、すぐに変わることは間違いないでしょう。