鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

ヒット商品はどうやってつくるか

[要旨]

ヒット商品を生み出すことは容易ではありませんが、単に、売れるものは何かということだけでなく、高い付加価値が得られるものは何かという視点を持つことが大切でしょう。


[本文]

日経ビジネスに、GSIクレオスの製品で、ガンダムのプラモデル向けのペンタイプの塗料の、「ガンダムマーカーEX」に関する記事が載っていました。記事によれば、このマーカーの新色の、ガンダムメッキシルバーは、筆跡が残らずに自分の顔が映り込むようなきれいな仕上がりを楽しめるそうです。

そのため、4月9日に出荷されてから、初回の生産ロットで出荷した数万本が、1週間もたたないうちに完売し、購入希望者は、次回出荷の6月まで待たなければならない状態になったそうです。現在は、あまり製品が売れない時代でありながら、このようなヒット商品も出ていることから、必ずしも「何も売れない」と考えてはいけないということを、この記事を読んで、改めて感じました。

だからといって、私のようなコンサルタントが、業績があまりよくない中小企業に対して、「ヒット商品を開発すれば、業績が回復する」などということを、軽々に提案することは慎まなければならないということも、十分、理解しています。ヒット商品は、ヒットした後になって、それがヒット商品と分かるものがほとんどであって、事前にヒット商品がわかるということは、希なことでしょう。したがって、事業の現場にいる人たちは、「ヒット商品を作れというなら、どんな商品がヒットするのか、教えて欲しい」と考えていることでしょう。

でも、前述の記事の中に、参考になると思われる考え方が書かれていました。それは、同社ホビー部の森課長の、「趣味にはお金がかかっても良いものを使いたい層が多く、玄人にも満足していただける製品開発を心掛けてきた」という言葉です。これは、顧客の求めるものを作るという意味もありますが、それだけでなく、「お金がかかっても良いもの」、すなわち、付加価値の高いものという点が大切だと、私は考えています。

前述のメッキシルバーは660円で、他の色の倍の価格で売られているそうです。顧客が本当に欲しいものは、値段が高くても売れるのであり、単に、売れるかどうかだけで判断してはいけないと思います。これが分かったとしても、ヒット商品を生み出すことはむずかしいと思いますが、単に、売れるものは何かということを考えているだけよりも、ヒット商品の開発に近づきやすくなると思います。

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