鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

報告がなくても問題点はなくならない

[要旨]

部下からネガティブな情報を伝えられた上司は、報告を受けたことは評価せずに、逆に、報告の内容に対して批判するということは、頻繁に起こりがちです。このような稚拙なマネジメントが行われる背景には、管理者、経営者の役割を認識している人が少ないということが考えられます。


[本文]

発行部数が約6万6千部のメールマガジンの著者である、佐藤しょ~おんさんが、先日配信した、そのメールマガジンを読みました。その要旨は、部下から受けた報告の内容が、「顧客からクレームが来た」などの悪い情報だったとき、その内容に対して部下を叱ると、次回から、部下は報告をすることを躊躇するようになるので、報告の内容が何であれ、上司は、報告したことそのことを褒めるようにしなければ、悪い情報を含め、上司は現場の状況を把握できなくなるというものです。

このことは、ほとんどの方がご理解されると思いますが、これを実践することは、なかなか難しいようです。これに関しては、「経営者や管理者は、ネガティブな報告であっても、きちんときく心構えが必要だ」という言い方もできるのですが、コンサルタントとしては、別の観点から分析をしたいと思います。事業活動は組織的な活動ですので、組織の構成員がひとりで起こした失敗であっても、組織全体で対処しなければならないことは、言うまでもありません。

さらに、組織階層で上位にある、管理者や経営者になるほど、異例のことがら、重要なことがらに対処する責任があります。これも当たりまえのことなのですが、もし、前述のように、ネガティブな情報を部下が伝えてきたとき、管理者であるにもかかわらず、上司が報告の内容を叱っていたとしたら、その上司は、自分が役割を認識できていないか、または、管理者の役割を担う自信がないということを、自ら認めているようなものでしょう。

さらに、そのような上司が会社にいるにもかかわらず、その状態が放置されたままであるとしたら、その会社の経営者も、マネジメント能力に欠けているということになります。でも、そのような管理者、経営者が、実際には少なくないのは、日本では、管理者や経営者が、「地位(ポジション)」という認識を持っている人が多いからだと思います。「自分は、部長なのだから、部下は指示に従え」と考えている人は、役職はポジションと考えている人でしょう。

でも、管理者や経営者は、「役割(ファンクション)」と考えれば、「部下の失敗は上司の責任でもある」と、すぐに認識し、善後策に着手できるようになると、私は考えています。少し話が大きくなりますが、「マネジメント」や「経営」という言葉は頻繁に使われている割には、実際にどういうことを指すのかということを理解する人は、あまり多くないようです。でも、これが解消されれば、管理者や経営社の役割を認識できる人も増えて行くと思います。

f:id:rokkakuakio:20210503160953j:plain