鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

リスクとのつき合い方

[要旨]

人間の習性で、実際にあまり起きないことを、起きると考えてしまったり、その逆のことを考えてしまったりすることがあります。したがって、勘や先入観だけで判断せずに、統計的なデータに基づいて判断をすることが大切です。


[本文]

幻冬舎のWebpageに掲載されていた、経済評論家の塚崎公義さんの記事を読みました。すなわち、これは、よく知られていることなのですが、人間は、非常に小さい確率でしか起きないことを、実際よりも大きな確率で起きると感じてしまう習性があ。そこで、自動車よりも事故が起きる確率が小さい飛行機に乗ることを怖がったり、実際にはほとんど当たらない宝くじを、自分は当たりそうだと思って買ったりするということを、塚崎さんは書いておられました。このような思い込みは、ビジネスでも起きることがあると、私は考えています。

例えば、自社に利益をもたらしてくれていると考えていた顧客は、頻繁に顔を合わせる顧客のAさんだと思っていたものの、実際に集計してみたら、あまり顔を合わせないものの、特定の商品を予約して定期的に買ってくれているBさんだったというようなことはよくある話なので、印象や先入観だけで判断することは危険です。

また、いい意味で、中小企業経営者の方はリスクに鈍感と感じることがあります。「自社のビジネスは成功する」と、あまり根拠はないけれど、前向きに起業したところ、成功してしまうということは、少なくないと思います。逆に、あまり論理的ではないですが、自社の事業は失敗してしまうかもしれないと考えながら、経営者の方が事業に臨んでいたとしたら、確かに失敗してしまいそうな気がします。とはいえ、事業をあまり楽観的に考えてしまうことも問題ではないかと思うときもあります。

東日本大震災の後から、急激に注目を浴びていますが、不測の事態に備えて、BCP(事業継続計画)を用意していた会社は、危機に面しても、回復が早いということが分かっています。「本当にそんなことがおきるのか」と思えるようなときから、ピンチに備えておくことが、いざというときに、ライバルと大きく差をつけることができます。その傾向は、今回のコロナ禍でも現れています。ということで、事業運営について、勘だけにたよらず、リスクへの対応について、統計的な視点を取り入れてみることを、お薦めしたいと思います。

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