鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

バーナードの指す組織とは

[要旨]

組織論研究者のバーナードは、「2人以上の人々の、意識的に調整された諸活動、または、諸力のシステム」と組織を定義していますが、バーナードの指す組織とは、組織に属する人々を動かすしくみを指しており、一般的な意味での組織よりも、もっと狭い意味での組織であるということに注意が必要です。


[本文]

先日、配信したPodcast番組で、組織論研究の第一人者である、バーナードの定義する組織について説明しました。ところが、バーナードの定義する組織は、少し抽象的であり、分かりにくい面があるので、今回、改めて、記事にすることにしました。ところで、会社の組織というと、一般的には、事業の目的を達成しようとする人たちである、社長などの経営者や、雇用されている従業員たちの集まりを指すでしょう。

これに対し、バーナードは、会社を事業に携わる人々が集まっている場としてとらえ、これを協働システムと呼びました。そして、協働システムは、建物や機械などの物的システム、販売先や仕入先などとの取引である社会的システム、経営者や従業員などの人的システム、そしてバーナードの定義する、狭い意味での「組織」といった、サブシステムから構成されていると述べています。

さらに、バーナードが定義する組織は、これもよく知られていますが、「2人以上の人々の、意識的に調整された諸活動または諸力のシステム」というものです。一般的に使われている組織は、前述のような共通の目的を持った人々の集まりを指しますが、バーナードが指す組織は、「諸活動や諸力のシステム」と表現されている、「しくみ」を指しています。

ですから、繰り返しになりますが、一般的な組織には人が含まれていますが、バーナードの定義する組織はしくみに過ぎず、「諸活動、または、システム」というように、人は含まれていません。ところが、このような前提を示さずに、組織の定義として、「2人以上の…」という説明をする専門家の方が多いので、それを聞いた方たちは、その組織の定義を、一般的な意味の組織と勘違いしてしまい、さらに理解を難しくしていると、私は考えています。

もしくは、「『組織に属する人々を動かすしくみ』は、『2人以上の人々の、意識的に調整された諸活動、または、諸力のシステム』です」と説明すれば、少し、理解が容易になるではないでしょうか?とはいえ、バーナードのいう組織については、直ちに理解することは難しいことも事実なので、ここでは、バーナードの指す組織とは、一般的に使われている組織とは別の意味だということを覚えておいていただきたいと思います。この続きは、また、次回に述べます。

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